秋を代表する味覚のクリ。今苦境のクリ業界を盛り上げようと、全国のクリの産地が一丸となってある全国大会が開かれました。

モンブランの日本一を決める大会

11月16日、熊本県山鹿市で開かれたのは「全国モンブラン大会」。全国一のクリの産地の茨城県笠間市。一説には室町時代からクリの栽培が続くともいわれる長野県小布施町など、日本を代表する7つのクリの産地から出品されたモンブランを審査し日本一を決めます。

全国モンブラン大会の様子

山鹿市役所 やまが和栗ブランド係長 北原チヅさん「昨年茨城県の笠間市で行われた全国モンブラン大会2023が1回目で、山鹿市が参加して、優勝したんです。なので『今年はぜひ山鹿でやりたいよね』ということで」

そして2回目の全国大会は、山鹿市で行われることになりました。

クリの栽培面積はピーク時の半分に

しかし、クリをめぐる状況は厳しく、農家の高齢化などの影響で全国的にクリの生産量は減少傾向です。熊本県内のクリの栽培面積は、ピーク時に比べて半分ほどに落ち込んでいます。

〈熊本県内のクリの栽培面積〉
 1985年 4200ヘクタール
 2022年 2182ヘクタール

北原さん「産地間競争ではなく、産地と連携してクリを盛り上げようと」

今回の大会誘致は、危機感の表れでもありました。

あんずジャムでクリの甘味を引き立てる

2連覇を目指し今年、山鹿代表として出場するのは、『山鹿和栗洋菓子店An(杏)』を営む植田隆司(うえだ りゅうじ)さん。クリを使ったパイやシュークリームが人気の店です。

植田隆司さん

近所の常連客「ときどき来させていただいています、きょうはクリのテリーヌをお土産に」
東京からの観光客「調べたらこの店が有名だと聞いたので」

今回、植田さんが出品するのは、頂上にクリを乗せた存在感あふれるモンブランです。クリの甘みを引き立てるため、なかに酸味のあるあんずジャムを使いました。

植田隆司代表「(山鹿のクリは)味わいが色々あるので、そういうのをできるだけ1つのモンブランで表現できないかと」

植田さんは大会を通じて山鹿のクリの魅力を伝えたいと考えています。

植田代表「これをきっかけに、山鹿のクリは西日本一の生産量で味もいいんだというのが少しでも広まればいいなと」

地元の中学生は「クリサポーター」に

地元の鹿北中学校の生徒たちも大会の盛り上げにひと役買います。学校の授業で学んだ全国の産地に関する知識を大会当日、クリサポーターとして来場者に伝えます。

生徒「茨城県のことや笠間市のことと、栗のことについて調べました。早口になってしまうのでゆっくりと言うことを頑張ります」

また大会では、自分たちで考案したモンブランも販売します。

考案者 北原咲さん「自分が想像していたよりもずっとおいしいです。是非食べて欲しいなと思います」

ライバルが続々と山鹿に集結

全国の産地から打倒・山鹿を目指すライバルが続々と会場入りしました。

高知・四万十町代表 畦地履正さん「去年は山鹿さんに負けたので、今年は日本一を目指して頑張っていきたいです」

大会では有名シェフやパティシエたちが各産地のモンブランの審査をします。審査の間、鹿北中の生徒たちがそれぞれの産地の魅力を紹介しました。今回の経験を通して、新たな発見があったという中学生も。

祖父がクリ農家の生徒「勉強していく中で自分のじいちゃんはすごい人だなというのが分かってとても嬉しくなりました(将来は)クリ農家か車の整備士になりたいです」

そしていよいよ日本一の発表。

登壇者「優勝は岐阜県恵那市です」

山鹿代表、惜しくも2連覇はなりませんでした。

植田代表「残念ながら恵那市さんには敵いませんでしたが、良い経験が出来ました」

イベントでは今回日本一をかけて作られた各地のモンブランが販売され植田さんのブースも多くの客でにぎわいました。

福岡から「モンブランが好きなので、熊本だったら近いので、いろいろ買えて良かったです」
福岡から「インスタで見て『行こうか』と話をして、すごくおいしいです」

「産地連携」でクリの魅力を発信した全国モンブラン大会。来年は京都で行われます。

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