保育園などに入れない「待機児童」の数が2年前、全国の市町村でワーストだった鹿児島市は、きょう5月1日、待機児童ゼロを達成したと発表しました。一方で、保育士不足など課題は残されたままです。

(鹿児島市 下鶴隆央市長)「必要な施策を迅速かつ強力に推進し、2年間でゼロを達成することができた」

鹿児島市は2年前、待機児童数が136人と全国ワーストとなり、「待機児童ゼロ」を公約に掲げる下鶴市長は、今年「ゼロにする」と宣言していました。去年は21人と大幅に減少していましたが、下鶴市長は5月1日の定例会見で、今年4月1日時点で、「待機児童ゼロを達成した」と発表しました。

市内でも特に谷山地区の保育士不足などが課題でしたが、市は保育士に独自の就職奨励金を交付し、保育施設を設置する際の改修費を助成。この結果、1年間で保育園の定員を395人増やし、保育士もおよそ150人増えたことなどから、待機児童が減少したとしています。

ただ、市によりますと、保育園の申し込み数は今年度は1万3181人で、前年度より77人増加。共働き世帯の増加などで依然、需要は高いままです。市は今年度も待機児童対策としておよそ15億円の予算を計上しました。

(鹿児島市 下鶴隆央市長)「待機児童ゼロは、あくまでスタートライン。引き続き取り組みを進めたい」

「待機児童ゼロ」の発表に、子育て世代は…。

(1歳児の親)「これから仕事をするにあたって、待機児童ゼロはありがたい。保育園探しは考えている。探して入れなかったら仕事はあきらめるしかない」

保育の現場でも評価する声が聞かれます。

(鹿児島市保育園協会理事長・すれみ保育園 青木和彦園長)「ゼロという数字には正直びっくりした。もしゼロにならなくても、この2年間に市政で行ってきた(政策の)効果はとても大きい」

市保育園協会の青木理事長は、市が行ってきた政策を評価した上で、市が空いている施設と、入園希望のマッチングに努めたことが大きかったとみています。

しかし、例えば、自宅から遠いところにしか保育園の空きが無く入園を断念した人など、いわゆる「隠れ待機児童」は、今年度は依然414人いました。

谷山地区にある青木理事長の保育園でも、希望する全員を入園させられない状況は今も続いているといいます。

(鹿児島市保育園協会理事長・すれみ保育園 青木和彦園長)「(保育士は施設単位では)足りていない。就労者数は増えていても、施設単位で見ると充足していない」「より多くの保育士が必要になるのも欠かせない」

「待機児童ゼロを達成した」とする下鶴市長。ゼロを維持しながら、保育現場が抱える問題をどう解決するか課題も残っています。

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