長崎県立島原高校出身の池田成諒(せいりょう)選手。来年開催される「世界陸上」出場を目指し、地元長崎県諫早市で練習を重ねています。

人類最速を決める100メートル走。この競技で、再び、世界の舞台を目指しているのが池田成諒(せいりょう)選手22歳です。

池田成諒選手:
「足が速くなりたい。なんてことない普通のことなんですけど、それが生活の一部というか、やるんだっていう選択肢しかないのでやり続けることしかできないです」

ことし8月に10秒26!

池田選手は、長崎県立島原高校時代、当時の県高総体記録を塗り替え、国体でも2度優勝!18歳以下のアスリートが世界中から集まる「ユースオリンピック」では銅メダルを獲得しました。

しかし、大学進学後は太もも裏の肉離れに苦しめられ、大きな期待を受けながらも、世界の舞台に立つことはできませんでした。

この春地元に戻ってきた池田選手は、今年8月のレースで10秒26を叩き出し、自身の持つ県記録を2年ぶりに更新!9秒台も、視野に入ってきました。

世界の舞台に挑む実力を持つ池田選手ですが、現在は「1人」。長崎県立総合運動公園陸上競技場(トランスコスモススタジアム長崎)で、セルフマネージメントでの練習を重ねています。

池田選手:
「(トラスタには)いい思い出も悪い思い出もたくさんあります」

大谷選手も使う「SPRINT2」

故郷での練習で新たに取り入れたのが「SPRINT2」というトレーニング器具です。大リーグの大谷翔平選手も使っている「SPRINT2」は、走行中の「最高速度」や「加速度」「左右のバランス」などを測定できるだけでなく、ワイヤーで後ろから負荷をかけ、走力を鍛えることもできる最新鋭のマシーンです。

「自分の走り」を測定し、すぐに確認することができるこのマシーンは、セルフマネージメントで世界に挑もうとしている池田選手にとって、コーチであり、相棒であり、指針にもなるものです。

池田選手の先輩:
「ちょっと(減速)してる。今減速してるかどうかっていうのは、山がちょっとピークが小さくなってる」

池田選手:
「走ってる時の体の使い方、『速い』『遅い』、『できた』『できなかった』を、人間の目で見て人間が計ると、どうしても誤差が出てしまう。一貫して機械で(記録を)取れて、客観的な指標ができることは、自分の感覚を正す、正しい方向に導くためにすごく有効なツールだと実感しています」

地元に応援団

今月12日、スーツ姿の池田選手が向かったのは「病院」でした。

病院職員:
「委託契約の調印式をしたいと思います」

池田選手が陸上競技に集中できるよう、諫早市の「あきやま病院」が、スポンサー第一号として、練習環境の提供や遠征費などを支援してくれることになりました。

かつて陸上競技をやっていた理事長は、池田選手の記録更新に期待を寄せています。

あきやま病院 穐山明正理事長:
「10秒1台をバシッと出して、コンスタントに出せるごとね」
「すごく優秀な短距離ランナーが長崎に戻ってきた、諫早に住んでると聞いてですね。お会いしたらすごく好青年だし。成長をサポートしたい」

2時間210円でトレーニング

さらなる速さを求めて、地道な筋力トレーニングも欠かしません。ことし8月、トレーニング中に足首をケガして以降は、足の裏の使い方などをより意識したフォームづくりに取り組んでいます。

10月からは「あきやま病院」が法人契約しているジムで、その前はトランスコスモススタジアム長崎のトレーニング室、2時間210円で欠かさず毎日2時間以上、自分の体と向き合ってきました。190キロのバーベルで鍛えているのは腹筋です。スタートの姿勢を保ち、効率の良い加速につなげるために腹筋は欠かせません。

1人で世界に挑むもうとしている池田選手。孤独な練習を続けることができるのは、叶えたい自分の姿が見えているからです。

池田選手:
「昨年、オーストラリアに遠征に行っている間に、テイラー・スウィフトさんがドームですごいコンサートをされていて。(自分も)人々を熱狂させたいんだっていう思いがふつふつと湧いてきて、そこからひたすら改めて自分が目指しているものとか、そのために取り組むべきこと、選択すべきものが妥協なく選択できるようになってきた」

「自己ベストの10秒26がまだまだ満足できる内容とタイムではないので、しっかり10秒0台に乗せて10秒1台をコンスタントに出して、東京世界陸上の代表に入るのが一番成し遂げたい目標です」

人々を熱狂させる、世界のスプリンターへ。日本で18年ぶりに開催される東京「世界陸上」に向け、池田選手の挑戦は来年2月の選考レースから始まります。

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