一般のドライバーが自家用車で客を運ぶ「日本版ライドシェア」。
 5月1日から札幌圏でも解禁されました。
 事業を始めるタクシー会社、そして利用者はどんな思いを持っているのでしょうか。

 札幌市のタクシー会社、昭和交通。新たに始まるライドシェアへの参入を決めました。
 背景にあったのは運転手不足に対する業界内の危機感です。

昭和交通 加藤絢也社長
「(不足分を)何とかカバーしていかないといけない。われわれ業界団体としてもしっかりとそこをカバーするべく、何かしらの動きが必要」

 運転手不足などを解決しようと導入されたライドシェア。
 東京などでは4月からサービスが始まり、札幌圏では5月1日に解禁されました。
 一般ドライバーは安全面を保証するため、タクシー会社と契約を結び、その会社の管理のもと、研修や車の点検を実施。
 札幌圏ではタクシーが不足する、土日の午前1時から4時台に、最大110台の運行が認められました。
 また、一般ドライバーはタクシー運転手に必要な「二種免許」は、いりません。

 制度に街の人は…。

街の人
「全然特に気にならない」
「安全面とか(二種)免許を持ってない方が運転する、どういう方か身元も分からない。そういうのは避ける」

 一方のタクシー運転手は。

タクシー運転手
「繁忙期はどうしてもお客さんに迷惑をかけるので、(不足する)その時間はありかなと」
「仕事よりも安全面からみるとよくないなと」

 運転手不足から導入されるライドシェア。
 しかし、業界内には既存の事業を脅かす存在になるのではとの警戒感もあります。

昭和交通 加藤絢也社長
「タクシー事業者の管理下だということが非常に大きい。どの産業にも解禁になるとタクシー事業がうまくいかなくなる」

 期待と不安。さまざまな思いが入り混じる中、新たな制度が走り出します。

 今回解禁になったのは、札幌市、江別市、北広島市と厚田・浜益地域を除く石狩市の「札幌交通圏」です。
 このエリアで、土日の午前1時から4時台に、最大110台までの運行が認められました。
 ただ、台数についてはこの半分の55台からまずは始めることになっています。

 サービスを利用するには配車アプリが必要で、アプリで車を予約して、事前に目的地と運賃を確定させます。
 タクシーが足りない時間帯に一般ドライバーの車が活用されます。
 運賃はタクシーと同じ水準です。

 ただし、解禁はされましたが、すぐに運行は始まりません。
 北海道運輸局は、対象のタクシー会社48社に対して、4月30日から意向調査を始めました。
 参入したい会社は何台まで出せるかなどをまとめ、5月10日までに回答します。
 それを受けて、運輸局は5月17日をめどに割り当て台数を各社に知らせます。
 ここから各社が採用活動やドライバー教育を行うので、本格運用は来月以降になるとの見方があります。

 午前1時から4時台の運用では限定的すぎる…と思うかもしれませんが、タクシー会社は「冬場」に必ず足りない事態が起きると見込んで備えているということです。
 事業者、そして利用者に役立つ制度としてスタートしてもらいたいです。

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