日本を代表する詩人の谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう)さんが、13日、老衰のため東京都内の病院で死去した。92歳。東京都出身。    ◇  谷川さんほど、多くの人に親しまれた詩人はいないだろう。誰もが知っている鉄腕アトムの主題歌の作詞から、子どもたちを喜ばせる「ひらがな詩」、スヌーピーの人気を高めた「ピーナッツ」の翻訳、言葉の可能性を追求する最先鋭の現代詩…。その活動は幅広い年代に支持され、世界的にも高い評価を受けた。「国民的詩人」という言葉がこれほどふさわしい人は、もう現れないのではないか。  人類は小さな球の上で
 眠り起きそして働き
 ときどき火星に仲間を欲しがったりする  万有引力とは
 ひき合う孤独の力である  20歳の時に出した第1詩集「二十億光年の孤独」の一節だ。「二十億光年」とは、当時最も遠くに観測された星雲までの距離を意味する。地球という単位をはるかに超えた「宇宙的感覚」で、人間の姿を描き出した。新しく瑞々しい、鋭い詩の言葉は以後、常に現代詩の先端を走り続けた。

谷川俊太郎さん(2013年撮影)

 現代詩人のほとんどは、別に本業を持つ。詩を書...

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