ごみ処理に課題を抱える静岡県三島市が、食品ロスを減らすため新たな取り組みを始めました。そのままではごみになるものをごみにしない、アプリを使った県内初のサービスです。

三島市の「パンのお店かにかぞく」です。地元の素材を使い、約40種類のパンを作っていますが、この日はピークの昼時を過ぎても売れ行きはいまひとつでした。

<パンのお店かにかぞく 江島尚太店長>
「ちょっとまだ(パンが)残っちゃっているし、天候も怪しいのできょうは早めに出品しようかな」

店長が操作していたのは三島市が2024年10月から始めたアプリ「タベスケ」です。消費期限が近いものなど、店が売り切りたい商品を価格を下げて出品し、利用者が購入するシステムです。こちらの店ではパン3つを約30%引きの540円で買うことができます。この日はタベスケを利用し7件の予約がありました。

<アプリを初めて利用した人>
「便利だなと思います、近くで帰りに寄って、あ、ちょっと安く買える、うれしい!みたいな」
<アプリを初めて利用した人>
「普段、食パンしか食べないので、普段食べないクロワッサンとりんごちゃんと、美味しそうだったのでマフィン買いました」

三島市がこのシステムを導入した背景には、市が抱える深刻なごみの問題があります。

<三島市廃棄物対策課 山添豊主査>
「こちらが最終処分場と呼ばれている場所で、清掃センターで出た焼却灰や、ガラスや陶器を砕いて埋める、ごみの最後に行きつく場所。9割以上、ほぼほぼ満タンに近い状態」

三島市の最終処分場は30年前、山を切り開いて作られました。現在はほとんど入れることができず、県外の民間施設で処理しています。費用は1年間で約8000万円です。

<三島市廃棄物対策課 山添豊主査>
「食品ロスを減らすことによってごみを減らす。それによって焼却灰をここに入れない。そういった取り組みですね」

「タベスケ」が始まって1か月、すでに三島市内の30の店が導入し、1か月で400キロの食品ロスを減らすことができました。

<パンのお店かにかぞく 江島尚太さん>
「この大きい袋に入れて廃棄するんですけど、これが2つとか、1週間で出たりする。最近だともう1週間でこれの3分の1とか本当に減っていると思います」

「タベスケ」の利用を始めた店舗では、フードロス削減のほかにもメリットがありました。

<Meyci 阿部真也さん>
「正確に把握はできていないが、半分くらいは新しいお客様なのかな。新しいお客様がホテルに来ていただくきっかけになっていると思っています。そういうところはありがたい」

三島市ではごみを出さないための取り組みを他にも進めています。

2023年9月には「メルカリShops」を開店。清掃センターに運ばれてきたテーブルや椅子といった家具、ベビーカーなどの粗大ごみをフリマサービス「メルカリ」に出品しています。1年間で10トンのごみを減らすことができました。

<三島市廃棄物対策課 山添豊主査>
「ごみを減らすのにホームランはないと思っている。今のメルカリもタベスケもまずは続けていくこと、持続可能で続けていくことが重要だと思っています。それによって少しずつでもごみも減らしていれば」

ごみをこれ以上増やさない。三島市はこれからも工夫を続けます。

手数料は市が負担しているため無料で、購入は三島市民以外も可能です。アプリには現在、三島市民を中心に約2000人が登録しています。

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