12月から紙やプラスチック製の健康保険証が廃止され、マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」に一本化されます。期限が迫る中、どのようなメリットがあるのか?一方で医療現場から不安の声も上がっています。
マイナ保険証への移行方法
病院や薬局などに欠かせない健康保険証。12月2日から新規発行は行われなくなります。現行の健康保険証は有効期限までの間、最長1年間利用可能です。このため、マイナンバーカードの取得やマイナ保険証への申請・登録が必要となります。
(街の人)
「病院で『マイナンバーの練習をしませんか?』と言われ練習をしていますが、難しくはない」「機会があれば作っても良いかなと思っています」
マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには登録が必要で、申請には3つの方法があります。
▼顔認証付きカードリーダーからの申請
▼マイナポータルからの申請
▼セブン銀行ATMからの申請
マイナ保険証を持っていなくても12月2日以降、「資格確認書」が全員に交付される予定で、健康保険証の代わりとして医療機関を受診することが可能です。
全国保険協会 西川隆久参与:
「医療機関や薬局に行けば、窓口に『顔認証付きカードリーダー』が置いてあります。そこにカードを置けば短時間でマイナンバーカードをマイナ保険証に切り替えられ、一緒にすることができる」
メリットも問題多発
マイナ保険証のメリットには、『過去の処方箋などの情報を医療機関と共有できる』『手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除される』『確定申告時に医療費控除が簡単』などが挙げられています。
全国保険協会 西川隆久参与:
「より質の高い医療を受けられるようになります。また、様々な手続きが簡素な形で進められます」
一本化が進められる中、過去のマイナポイント事業などで保険証の紐づけを行った人が多く、マイナンバーカードを発行した人のうち約8割は登録が済んでいます。
しかし、2021年から運用が始まったマイナ保険証の利用率は、13%程度にとどまっています。
一方で、医療現場からはトラブルも報告されています。大分県保険医協会が実施したアンケート調査では、171の医療機関でカードリーダーの接続不良や名前の読み取り不具合などの問題が確認されました。
こうした状況から協会は「利用が広がらない要因になっている」と指摘します。
県保険医協会 垣迫真一副会長:
「読み取りができなかった人や他人の情報に誤って紐づけられていたケースがありました。マイナンバーカードを使えない人もいるので、現在の健康保険証も継続して使えるようにしてもらいたいというのが保険医協会の要求です」
薬局で重要な情報確認できず
大分市にある「O・P・A薬局」。10月からマイナ保険証の利用が徐々に増え始めています。
O・P・A薬局 都甲大介さん:
「過去の受診歴や何の薬を使っていたのかなどデータとして出てきます。どういった目的で使われているのかをはっきりと患者さんに伝えることができるようになったので、より充実した服薬指導ができるようになりました」
利便性を評価する一方、マイナ保険証で確認できる処方履歴は、過去1か月から5年の間となっていて、薬剤師が直近の情報を知るには、従来通りお薬手帳が必要だと指摘します。
O・P・A薬局 都甲大介さん:
「何が問題かというと直近の1か月が見られないということです。僕たちが一番欲しいのは直近の情報なんです」
また、代理で薬を受け取る際、顔認証やパスワードの入力が必要となるため、パスワードの失念などにより手間がかかる場合もあるといいます。
O・P・A薬局 都甲大介さん:
「今の状態で紙を廃止するのは難しいと思います。患者さんの不安が解消されるような説明を医療従事者からできるようになれば、より一層浸透できると感じています」
正確な本人確認や過去の医療情報でより良い医療につながる期待の一方、医療従事者や利用者の不安を解消する説明やサポートが求められています。
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