「公共冷蔵庫」についてご存じでしょうか?

経済的に困難を抱え支援が必要な人が、時間や人目を気にせずいつでも無料で食料品を受け取れる仕組みのことです。

物価高騰の影響で支えを必要とする親子も多い一方、運営側も苦境に立たされています。

24時間・365日利用可 無人の「公共冷蔵庫」

「どうぞー。食料品と日用品を置いています」

お米やレトルト食品、衣類など、様々な品物が並ぶのは、NPO法人が運営する「佐賀コミュニティフリッジ」。

経済的に困窮し生活が厳しい家庭に、企業や個人から寄付された食品などを無料で提供するいわゆる「公共冷蔵庫」と呼ばれる場所です。

利用できるのは、佐賀県内在住の児童扶養手当を受給するシングルマザー。

事前に登録して専用のアプリを使えば、24時間・365日いつでも利用でき、無人のため、人目を気にする必要もありません。

きっかけは”親支援の必要性”

運営を担う内川実佐子さんは、ひとり親家庭の子供達を預かっている時に、子供だけでなく、親への支援の必要性を感じたといいます。

佐賀コミュニティフリッジ 内川実佐子さん「お母さんの笑顔が子供達にとっては大好物じゃないですけれど嬉しいことなんだなと分かって、支援をするためにはどうしたらいいかということで、一品でも多くの食事を夕食に出せるように食糧支援、日用品も高くなっているのでそういう支援ができればなと思って」

利用者数は当初想定の10倍以上に

商品を陳列する女性。「佐賀コミュニティフリッジ」のスタッフとして働きながら、2人の子供を育てるシングルマザーとして、利用登録もしています。

施設を利用する女性「子供におやつを買ってあげたくても買えないこともあるので、全体的に子供に我慢させているなと自分自身に罪悪感を感じています」

「佐賀コミュニティフリッジ」に登録している人の数は、約230世帯。

2022年5月に支援を始めた時は20世帯ほどの利用を想定していましたが、瞬く間に100世帯を超え、開所から2年半で倍以上に増えました。

それもそのはず、厚労省の調査では、2021年時点のひとり親世帯の相対的貧困率は44.5%。

これはOECD=経済協力開発機構加盟国36か国のうち、5番目に高い数字です。

物価高騰に「おかずを一品減らす」日常

ここ最近の止まらない物価高騰に、女性も年々暮らしが厳しくなっていると感じています。

施設を利用している女性「物価高が毎年のように続いているのでおかずを一品減らすという日常だったんですけれど、ここで何か品物を1つでもいただけると、子供達の笑顔が増えるのですごく助かっています。このままだと将来が不安なので、もう少し物価高が落ち着いてくれたらいいなと思います」

施設側の運営も厳しく

物価の高騰は、母親たちだけでなく施設の運営にも影響を及ぼしています。

佐賀コミュニティフリッジ 内川実佐子さん「この場所を借りていますのでここの家賃も払わないといけない、一年中エアコンを入れているんですよね、物も腐らないようにということで管理していますので光熱費もたくさんかかります。資金繰りに困っています」

運営に必要な経費は最低でも年間400万円。

寄付金だけではまかなえない状況です。

佐賀コミュニティフリッジ 内川実佐子さん「ここから何か発展することは考えていないです。今の現状をどう維持していくかが課題になっています。物価高騰が続いているじゃないですか。お米買うにしても今までの1・5倍のお金を払わないとお米を手に入れられない。何を我慢するか、ご飯を炊くのをやめてパン、パンの耳にしとこうかとか。育ち盛りの子供達が食べ物を我慢するのは私としては耐えられないという感じがする」

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