今年3月に最後の運行を終え引退した「SL人吉」が、11月18日から熊本県のJR人吉駅前で常設展示されます。
亀山真依アナウンサー「いよいよ始まるSL人吉の展示に向け、テントの設置作業が行われています」
地元の人も設置作業を見守っていました。
地元の人「(SL人吉が)ずっとここにあるのなら、休みの日などに子どもを連れて遊びに来られるなと」
1922年に誕生、それから102年
SL人吉の顔、蒸気機関車の「58654号機」は1922年に製造され、2009年から熊本駅と人吉駅の間を運行していました。
しかし、2020年7月の豪雨でJR肥薩線が被災し、以降は熊本駅と佐賀県の鳥栖駅の間を走っていました。
そして車体の老朽化などの理由で、今年3月に引退。100年以上の歴史に区切りを付けました。
引退を見守ったファン「また、肥薩線など復旧が進むのであれば、SLがまた九州に来ることを、復活することを願っています」
多くの人に惜しまれながら引退したSL人吉は、観光の起爆剤になればと、JR九州から人吉市に無償譲渡されることになりました。
「またここで再会できる」
SL人吉が展示されるのは人吉駅前。JR肥薩線の人吉駅と鹿児島県の吉松駅の間は、4年前の豪雨の被害で不通になっています。
国と熊本県、JR九州は鉄道でのJR肥薩線の復旧を決めましたが、復旧は2033年度ごろとまだ先の予定です。
そのためSL人吉の里帰りは観光業界にとっても、うれしいニュースです。
人吉温泉観光協会 鳥越英夫代表理事「災害にあう前、一番の観光の目玉はSL人吉だったんですね。またここで(SL人吉と)再会できることで、足を運んでくれる人がたくさんいるのではないかなと思っています」
そしてきょう(13日)はSL人吉の清掃作業が行われました。
「気持ちが乗り移ったような機関車」最後の整備で溢れる想い
記者「車体を丁寧に拭いているのは、これまでSL人吉を支えてきた整備士たちです」
整備士の一人、玉井明人(たまい あきと)さん(67)はSLあそBOY時代の1988年から36年に渡って車体の整備を担当し、安全な運行を支えてきました。
JR九州エンジニアリング 玉井明人さん「家族であり、子どもであり、自分が一生懸命手を入れてきた車両なので、私の気持ちが乗り移ったような機関車」
玉井さんがSL人吉の整備をするのは、これが最後。今後は、地元の団体が清掃作業を担う予定です。
玉井さん「SL人吉が復興の兆しに、元気づけてもらいたいし、人吉市のランドマークになってほしい」
SL人吉が102歳を迎える11月18日から、人吉駅前広場で一般公開が始まります。
人吉市は今後、クラウドファンディングなども活用しながら格納庫の設置や実際にレールの上を走る「動態展示」などの実現も目指しています。
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