30年ぶりの決選投票を経て、第103代内閣総理大臣に指名され、第2次石破内閣が発足しました。厳しい政権運営が予想される石破総理の前に立ちはだかる「予算の壁」と「参院選の壁」。元明石市長の泉房穂氏と、永田町を取材するジャーナリスト武田一顕氏、神戸学院大の中野雅至教授が、それぞれの見方で解説します。

――最新のJNN世論調査で石破内閣の支持率は38.9%で、前回に比べて12.7%ダウンしました。

(泉房穂氏)やっぱり顕著に下がったなという感じです。私も期待した1人ですが、期待が失望に変わってしまった。(石破総理が)もう一回、国民を向いた政治に変えればまた人気回復もありうると思いますが。

◆武田氏「石破降ろし、すぐには起きないのではないか」

――もし野党が一枚岩になってしまうと、不信任決議がいつでも通る状況です。でも、「石破降ろし」はそんなにすぐには起きないのではないか、微妙なバランスで成立しているようです。まず自民党内では「火中の栗を誰が拾うのか」今の自民党の総裁に誰がなりたいのか、という話があります。

(武田一顕氏)トップが変わっても議席は変わらない。だったら今のよりも、次の解散総選挙を見据えて、議席が取れるような頃に(総裁を)やった方がいいだろうというふうに内向きの考え方をしてるわけです、党内が。

臨時国会の補正予算はおそらく与野党ある程度話し合いで通ると思います。ただ来年の通常国会で、予算はまさに政府の骨格ですから、これでぶつからなかったら今度は「野党何やってんだ」って話になる。そこでぶつかって石破さんは相当厳しい立場に追い込まれるだろうと私は見ている、来年2~3月に非常に大きな壁が立ちはだかってくると見ています。

◆中野氏「むりやり野党統一してコケたら、政権交代は二度と起きない」

――石破おろしについて野党は全然一枚岩になっていない、おろしたくてもおろせない、という状態とも言えます。

(中野雅至氏)基本政策が違うので野党の一本化は難しい。共産・れいわ・日本保守党・参政党などもあって、左右に分裂している傾向もあるので簡単には一本化しないと思うんで、僕は基本政策がずれていれば現状維持で良いと思います。むりやり野党統一をやって、今回こけたら、政権交代は本当に二度とこの国では起きません。僕は野田代表も本気で狙ってないと思う。狙わなくていい。参議院選挙終わってから本格的に狙えばいいと思う。

(泉房穂氏)日本の場合は小選挙区と比例代表の両方の要素があって、小選挙区では2大政党っぽいわけが比例代表もあるから結局割れます。ヨーロッパ型は比例代表なので、三つ四つの政党が政策合意をして政権になることも多いので、わたしは日本でも両方の可能性を探ってほしいという立場です。

◆泉氏「総理から見ると壁 国民から見るとチャンス」

――予算編成の壁について、衆議院で過半数持っていない与党。もし新年度に入っても予算が決まらないと政権への不信感が増します。

(武田一顕氏)予算は内閣が編成して与党が了承して国会に提出されるものです。議会では過半数がないと駄目だけど、その前に予算を審議する予算委員会で、その委員長は今回、立憲民主党の安住さんという話もあるので、そうなると採決ができないわけですよ。全然通らなくなっちゃう。委員長が通せば「隠れ自民党だ」って言われるからぶつからざるを得ないわけで、結局ぐちゃぐちゃになってしまうのが私の予測です。

(泉房穂氏)きょうは”壁”という切り口ですやん。石破さんから見たら壁ですけど、国民から見たら私はチャンスだと思ってる。選挙結果を受けて、国民の負担を増やすような政治から、国民の生活を救う政治になるチャンス。ちゃんと声を上げて、今回の選挙結果を踏まえたような歩み寄りを与党もしたらいいと思います。

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