公園や児童館、そして通学路の信号機まで、億単位の予算の使い道を握るのは子どもたちです。驚きのドイツの「子ども議会」を取材しました。

ドイツ・ベルリンにある区役所。ぞくぞくと子どもたちがやってきます。

記者
「普段は大人が使っている区議会の議場なんですが、きょう集まっているのは子どもたちです」

区の子ども議会の本会議。集まったのはそれぞれの学校などを代表する小学5年生以上の議員です。

子ども議員(12)
「もっと動物を守りたいです」

子ども議員(12)
「遊び場をきれいにしたいです。汚れていて、たばこの吸い殻がいっぱい落ちているんです」

この日の議題の1つは、通学路にある信号について。

赤の時間がおよそ50秒、青は10秒ほどしかなく、子どもたちは改善を求める要望書の書き方を話し合いました。

ルイツァ議長(15)
「ユリさん、これでいい?」

要望案を提出したユリ議員(15)
「道を渡るのに20秒かかりました。14秒に延長されても渡り切れませんよ」

“疑似体験の場”ではなく、集約された意見や要望は大人の区議会が検討する決まりになっています。

これまで、子ども議会の要望で実現したのは、高架下につくられたスケートボード場。

利用する子ども(14)
「意見を聞いてもらえるのはいいね。ここで楽しめるし」

公園の改修時に設置した水飲み場。そして、放課後に子どもたちが過ごすための「児童館」など、さまざまです。

デトレフ・ワーグナー副区長
「多くの大人は子どもの頃の気持ちを忘れてしまっています。どんな問題があるのか子どもたちが思い出させてくれるんです」

子ども議会では、今、あるプロジェクトが最終段階に入っています。

公園に作る遊具コーナー。子どもたちからデザインのアイデアを募り、5月の完成に向けて工事中です。

こだわったのは環境への配慮です。

アデクンレ議員(12)
「ベルリンの近くで伐採された木を使っています」

事業予算は日本円にしておよそ1億8500万円で、額も大きいだけに、大人たちに理解をしてもらえる方法を考え続けてきました。

アデクンレ議員(12)
「もちろん政治家と議論するのは大変でした。僕たちの頭に浮かんだアイデアが現実の世界に現れると思うと、とてもとても嬉しいです」

自分たちの街のことだから、子どもだって意見する。子どもたちは本気で街づくりに参加していました。

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