ロシアのプーチン大統領は9日、北朝鮮との間で結んだ有事の軍事援助などを規定する無期限の「包括的戦略パートナーシップ条約」を批准する法律に署名した。露側の手続きは完了し、北朝鮮との批准書の交換で発効する。ロシアがウクライナで「特別軍事作戦」を続ける中、露朝の緊密化が進んでいる。
この条約は、プーチン氏が6月に訪朝した時に、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との合意で締結した。第4条では、一方の国が武力攻撃を受けて戦争状態となった場合、もう片方の国が「あらゆる手段で直ちに軍事援助を提供する」と定める。露議会上下両院は、6日までに批准に関する法案を可決していた。
露朝を巡っては、米韓などが北朝鮮によるロシアへの派兵を指摘する。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍が越境攻撃を続ける露西部クルスク州に1万1000人の北朝鮮兵がいると訴えている。
プーチン氏は、派兵について明言は避けつつ否定もしておらず、条約をその法的根拠と考えている可能性がある。ただ、タス通信によると、ルデンコ露外務次官は5日、条約について「軍事同盟の結成を規定するものではなく、第三国に脅威をもたらすものではない」と釈明した。
露朝間では2000年に結ばれた友好善隣協力条約があり、有事の対応については「双方は速やかに接触する」とだけ規定していた。こちらの条約は、新条約の発効をもって失効する。【モスクワ山衛守剛】
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