米南部フロリダ州で9~10月に相次いだハリケーンの被災地で、路上に残されたがれき=2024年11月5日、AP

 米連邦緊急事態管理局(FEMA)は9日、米南部を9月下旬に襲ったハリケーン「ヘリーン」による被災状況を調査していた職員が、共和党のトランプ次期大統領を支持する看板を掲げている住宅を調査対象から外すよう部下に指示していたと発表した。FEMAは職員を解雇した上で、実態調査を進めている。

 ヘリーンで被害が出た南部フロリダ州のデサンティス知事(共和党)は「連邦当局にいる党派的な活動家による『政府の武器化』だ」と非難。州当局も独自に調査すると明らかにした。

 ヘリーンでは南部のジョージア、ノースカロライナ、フロリダ各州などで被害が出た。FEMAによると、この職員は住宅の被災状況を調査した際、トランプ氏を支持する小さな看板を庭に立てている住宅は無視するように指示した。不正があった時期や場所は不明だ。

 FEMAのクリスウェル長官は「我々の任務は全ての人たちを助けることだ。職員の行為は非難されるべきで、再発防止のためにあらゆることをやっていく」と述べた。

 へリーンは大統領選の選挙戦中に発生し、トランプ氏は対立候補だった民主党のハリス副大統領らが「FEMAのほとんど全ての予算を不法移民に与えた」と根拠のない主張を展開。FEMAが「虚偽だ」と反論する騒動になっていた。【ワシントン秋山信一】

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