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 アメリカ大統領選挙は5日(日本時間6日)に投開票が行われ、共和党・トランプ前大統領が、事前の予想を覆し、民主党・ハリス副大統領に圧勝した。7つの激戦州を全て制し、投票締め切りから数日かかるとも言われた勝利宣言も、当日深夜に行うほどのスピード決着に。史上稀に見る激戦との予想とは異なる結末を迎えた。132年ぶり2人目の大統領返り咲きとなったトランプ氏。現バイデン政権下で過剰なインフレなどに苦しむ国民からの支持を受けた形だが、早くも「トランプ2.0」については、様々な見解が飛び交っている。『ABEMA Prime』では今回の圧勝劇、さらには前回務めた4年と今回の4年、何が変わってくるかを検討した。

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■大接戦予想もまさかの圧勝

 投票直前の支持率は、トランプ氏とハリス氏でほぼ同じ、わずか0.1ポイント差とも言われた今回の大統領選。ところが蓋を開ければ、トランプ氏が各州で次々と勝利を収め、終わってみれば7つの激戦州で全勝するなど、最終的には538人の選挙人のうち、300人を超える勝利になるという見方もある。2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は「拮抗すると聞いた時点でトランプさんが勝つとは思っていたが、もうちょっと時間がかかるとは思っていた。ここまで圧倒的だったのはちょっと驚き」とコメント。現地の反応はどうだったか。

 ビートラックス代表のブランドン・K・ヒル氏は、民主党支持者の多いサンフランシスコ在住だが「経営者の友人、ビジネスオーナーと話すと『大きな声では言えないけど、トランプになってほしい』という声は結構聞こえていた。ここ4年間がしんどくて変化が必要だと聞いていたので、そうなるだろうと思っていた」と、バイデン政権下で経済的な苦労を重ねる民意が反映された結果だとした。国民の生活を最も苦しめていたのは物価高だ。「経営している人も、従業員の給料を上げないと生活コストが上がっているので維持できない。昇進、昇級という結果もなしに、インフレ調整で大幅に賃上げしないといけなかった」と明かした。また、ニュージャージー州在住のジャーナリスト・冷泉彰彦氏も「ニューヨークも全く同じ状況。卵が8ドル、場合によっては10ドルもする。治安の悪化についてもコロナ禍の時にホームレスの人が増えてひどくなったが、それがまだずっと続いている」とした。

 一時は「ハリス旋風」とも呼ばれ、ハリス氏優勢の時期もあった中、どこで風向きが変わったのか。前回、初めて大統領に就任した際と比べ、トランプ氏に変化があったという声は少なくない。ブランドン氏は「2016年から2020年、トランプさんが大統領だった時のキャラと発言から、今回は少しトーンダウンしている。嫌なことを言うとか悪口を言うとか、誹謗中傷的な発言が、その時よりは現在の方がより地に足がついて、冷静な政治の話をするようになった」と指摘した。

 また冷泉氏は、今回トランプ氏を支えることになった強力な側近の存在も挙げた。「『トランプ2.0』は、『1.0』と相当違うと思う。その理由として、1.0の時は例えば長女のイバンカ夫妻はかなり現実的で、いわゆるクラシックな共和党の議員たちとネットワークがあって、そこで何かバランスを取ってやろうとした。あまり普通のことばかりやると、コアなファンが離れるので、トランプさんは時々暴言を放つ、みたいな行ったり来たりがあった。ただ、今回は何といってもJ・D・ヴァンスさんとイーロン・マスクさんというキレッキレの知識人が、うまい具合にトランプさんを利用してやろうと、ついている」と、トランプ氏の勝利を支えた2人について説明した。

 ただ、この2人がついていることで、従来のトランプ氏に求められるものとは異なる方向に進む可能性も示唆した。「本当に現実とトランプさんとの橋渡しをやろうとしているのか、それとも自分たちが野望を持ってやっているのか、これは両方あると思う。たぶん2.0は、この2人を軸に動いていくとすると、全然予想外の方向に行くのではないか。これから先、かなり意外な展開があるとすれば、それはすごく不透明なのでは」とも述べた。

■トランプ「2.0」の課題は

 第2次トランプ政権で注目されることは山ほどある。不法移民についても、第1次政権時代に掲げ、間にバイデン政権を挟んだとはいえ、クリアはされていない。ひろゆき氏は「移民は前回作った壁に、穴を開けて入ってきている。めちゃくちゃ長い国境沿いに壁を作っても、チェックが大変。壁のあるところから入ってきているので、そもそも意味があるのかというものも含めて難しい」と述べると、ブランドン氏は「壁というハード面と、政府の対応というソフト面もある。ハリスさんが国境担当していた時にちょっとソフトにしていたらしい。(トランプ氏は)警備とか見つけた時の対応をどんどん厳しくするというソフト面の対策を、ハード面を作る前にまずやりそうな感じはする」と語った。また冷泉氏は「トランプさんはメキシコの悪口ばかり言っていて『ギャング団をやっつけるためにアメリカの正規軍をメキシコに派遣する』とまで言う。これは完全に主権侵害で、まずはメキシコ大統領との関係をきちんと改善することが大事。それに不法移民を何百万人単位で追放すると言っても、アメリカの農業とサービス産業が全部壊滅的になるので、そんな簡単にはできない話だ」と解説した。

 またロシアとウクライナの間で続く戦争への関与も焦点だ。冷泉氏は「非常に難しいと思う。実際に動いている戦争は簡単には止まらない。ただゼレンスキーさんと接触しているところがあるので、何らかのことはあるかもしれない。彼が2.0で最初にやろうとしていることの試金石になる」。トランプ氏とプーチン大統領の会見も可能性が示唆されているが「トランプさんはやりたいと思うし、イーロン・マスクさんなんかもやっちゃえと言うと思う。ただヴァンスさんが共和党の議員団とかいわゆるベテランの人たちと相談してどうするのか、あるいは落としどころは違うよ、ちょっと待ってくれと説得するのかは、わからない」という。

 また今回、トランプ氏に投票した有権者にとっても、どこまでロシア・ウクライナ間の問題についての覚悟があったかについて、冷泉氏は首をひねる。「本当にトランプさんがいきなり自分のカラーを出そうとして、プーチンさんと会談するとか、あるいはウクライナが負けているのをほったらかすとかなった時、トランプさんに入れた人の半分ぐらいは『ちょっと待った!』という風になる可能性もある。そう考えると軍事外交のことをきちんと争点化して、きちんと議論できなかったことでは、この選挙はすごく悔いの残ることになるかもしれない」。
(『ABEMA Prime』より)

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