10月28日、中国経済は政府の景気刺激策にもかかわらず低迷が続き、外国企業は価格やコストの引き下げや事業の縮小など、戦略の見直しを始めている。写真は中国の嘉陵江。2022年撮影(2024年 ロイター/Thomas Peter)
中国経済は政府の景気刺激策にもかかわらず低迷が続き、外国企業は価格やコストの引き下げや事業の縮小など、戦略の見直しを始めている。
仏エルメス、ロレアル、米コカ・コーラ、ユナイテッド航空、英ユニリーバ、独メルセデス などの大手企業は、不動産危機が長引き若者の失業率が高止まりしているため、中国の顧客は支出を抑えていると指摘する。
一部の企業はすでに中国での戦略を転換している。
仏カーボングラファイトメーカー、メルセンは先週、現地企業との競争激化を受け、中国の動力伝達製品工場を閉鎖すると発表した。
仏ダノンやスイスのネスレなど国際食品会社は値下げを強化したり、ネット販売の拡大に目を向けたりしている。
コカ・コーラのジェームズ・クインシー最高経営責任者(CEO)は23日の決算説明会で、中国経済は好転していないと述べ、同国の事業環境は依然として厳しいとの認識を示した。
エルメスは中国での客足の減少を宝飾品、皮革製品、男女の既製服の平均購入額を増やすことで補っている。同社は先週深センに店舗をオープンしたのに続き、12月に瀋陽に2店舗目を開き、来年には北京に旗艦店を立ち上げる予定だ。
エルメスのように投資を継続する企業がある一方で、中国での事業が長期的に変化した企業もある。
ユナイテッドは現在、ロサンゼルスから上海へ1日最大3便を運航しているが、近く状況が変わるとは予想していないという。同社のスコット・カービーCEOは、「かつて中国へ1日およそ10便程度運航していたが、そういう時代はすでに終わったと思う。環境は完全に変わった」と語った。
<第3・四半期の暗い見通し>
第3・四半期の決算発表が本格化する中、中国の事業環境の厳しさに関する企業幹部の発言が相次いでいる。
イタリアの高級ブランドグループ、エルメネジルド・ゼニアのエルメネジルド・ゼニア会長兼CEOは、中国での「困難な」時期は少なくとも2025年初頭まで続くとの見方を示した。
景気の不透明感が中間層を圧迫し、富裕層でさえ消費に消極的になっており、高級ブランドは苦戦を強いられている。
仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは、中国の消費者信頼感が過去最低水準に落ち込んでいると指摘した。
重工業も厳しい状況がまだしばらく続く見込みだ。
スイスのエレベーター・エスカレーターメーカー、シンドラーのシルビオ・ナポリCEOは17日の決算発表後、中国市場について「今のところ回復は見られず、見通しもないと」と強調した。景気刺激策は経済に必要な「バズーカ」にはならないとの見方を示した。
<持久戦>
ピクテ・アセット・マネジメント(ジュネーブ)のポートフォリオマネジャー、ジリアン・ディーセン氏は、「(中国経済の)構造的な鈍化ではなく、むしろ循環的な減速という声が多くの企業から聞かれる。従って企業は信頼感が回復し、刺激策が本格的に効き始めるのを待っている」と語った。
「政府はこの国がいくつかの大きな問題を抱えていることをはっきりと理解している」と話すのはラショナル・ダイナミック・ブランズ・ファンドのポートフォリオ・マネージャー、エリック・クラーク氏。「問題解決に向けた政府の取り組みは、これまでのところ致命的な傷に絆創膏を貼るようなものだ」と話した。
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