トランプ前米大統領の集会に登壇したコメディアンのトニー・ヒンチクリフ氏。その発言が批判を呼んでいる=米ニューヨークで2024年10月27日、AP

 米大統領選の共和党候補、トランプ前大統領の選挙集会の応援演説で、カリブ海の米自治領プエルトリコを「ごみの浮き島」と呼んだコメディアンの差別発言が猛批判を集めている。11月5日に迫る大統領選の激戦州でプエルトリコ系有権者の支持拡大を図る民主党候補のハリス副大統領に、反撃材料を与えた格好だ。

 ニューヨークで27日に開かれたトランプ氏の集会で、人気コメディアンのトニー・ヒンチクリフ氏が「海の真ん中に、文字通りごみの島が浮かんでいる。プエルトリコと呼ばれていると思う」と発言した。ヒスパニック系や黒人に対する、別の差別的な発言もあった。

 直後に共和党の議員からも非難する声が上がり、トランプ陣営は「トランプ氏の見解を反映したものではない」と釈明に追われた。

 ハリス氏は同じ日、東部ペンシルベニア州でプエルトリコの経済振興策を発表した。X(ツイッター)への投稿では、トランプ氏が大統領在任時にプエルトリコの人々を「置き去りにした」などと主張して違いを強調した。

 大統領選への投票権を持つ全米50州と首都ワシントンに暮らすプエルトリコ系の市民は約580万人に上る。米紙ワシントン・ポストによると、両陣営が最重視する激戦州のペンシルベニア州は有権者の6%が中南米にルーツを持つヒスパニックで、その半数はプエルトリコ系という。

 プエルトリコ系で著名アーティストのリッキー・マーティンさんやジェニファー・ロペスさんらは発言を受けてハリス氏支持を呼びかけた。【ニューヨーク八田浩輔】

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