米東部ニューヨークで開かれた共和党のトランプ前大統領の選挙集会で演説する実業家のイーロン・マスク氏=2024年10月27日、AP

 米東部ペンシルベニア州フィラデルフィアの司法当局は28日、大富豪で実業家のイーロン・マスク氏に対して、11月の大統領選の激戦州で署名活動に賛同した登録有権者の中から「毎日1人に100万ドル(約1億5300万円)」を支払うキャンペーンを止めるよう求める訴えを州の裁判所に起こした。米メディアが報じた。当局は「消費者保護法に反する違法な宝くじ」に当たるとしている。

 今回のキャンペーンは違法の可能性があると指摘されていたが、訴訟を起こされたのは初めてだ。

 マスク氏が立ち上げた政治活動委員会(PAC)「アメリカ」は10月19日、ペンシルベニア州でキャンペーンを開始。22日からは同州を含む激戦7州に対象を拡大した。司法省はマスク氏側に対して「違法の可能性がある」と警告したが、マスク氏側は無視して活動を継続している。

 報道によると、フィラデルフィアの司法当局は「すぐにマスク氏(の活動)を止めなければならない。マスク氏らは有権者に影響力を及ぼすため、違法な宝くじの手口をあみ出した」と主張。「司法当局は選挙の公正さに対する干渉から一般国民を守ることを委ねられている」としている。

 アメリカPACは激戦州で「言論の自由と銃所持の権利」を擁護する署名活動を展開している。形式上は独自の運動だが、マスク氏が支持する共和党のトランプ前大統領を実質的に支援する狙いがある。【ワシントン秋山信一】

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