10月26日、イスラエル軍はイランの複数地域にある軍事標的に対する「的を絞った」攻撃が終了し、軍機が安全に帰還したと発表した。写真はテヘラン上空。Majid Asgaripour/WANA提供(2024年 ロイター)
イスラエル軍は26日、イランの複数地域にある軍事標的に対する「的を絞った」攻撃が終了し、軍用機が安全に帰還したと発表した。
イランが過去1年にイスラエルに向けて発射したミサイルの製造に使われた施設や、対空装備に空爆を実施したと説明した。
さらに、イランが再び情勢を激化させる過ちを犯せば、イスラエル軍は対応を余儀なくされると警告した。
一方、イラン当局はイスラエルからの攻撃について、防空システムによる迎撃に成功したが、複数の場所で「限定的な損害」が出たと発表した。テヘラン、フゼスタン、イラム各州の軍事目標が攻撃されたという。
半国営のタスニム通信は、「イランはいかなる攻撃にも対応する権利を留保しており、イスラエルがどのような行動を取っても相応の報復を受ける」とする関係筋の話を伝えた。
イラン外務省は「自国を防衛する権利と義務がある」と表明し、イスラエルの攻撃を非難した。しかし「地域の平和と安全に対する責任を認識している」とも述べ、過去の緊張激化時よりも融和的な姿勢を示した。
イランメディアによると、首都テヘランと近隣の軍事基地で現地時間午前2時(日本時間午前7時半)過ぎから数時間にわたり複数の爆発があった。イスラエルの国営放送は、3波の攻撃が完了したと伝えた。
イラン軍統合参謀本部は「敵機はイラン領空への侵入を阻止され、攻撃による被害は限定的だった」との声明を発表した。
元国連核兵器査察官のデービッド・オルブライト氏は衛星画像に基づくと、テヘラン近郊のパルチン軍事施設が攻撃を受け、弾道ミサイルエンジン用の固体燃料を混合する建物などに被害が出たもようとの見方を示した。
米シンクタンクCNAのアナリスト、デッカー・エベレス氏は、イスラエルが広大なミサイル生産施設があるテヘラン近郊のホジルも攻撃したと述べた。
<エネルギー・核施設は含まれず>
米政権高官は今回の攻撃について、イランが実施した先の攻撃への相応の対応で、的を絞った形で行われ、民間人に被害を与えるリスクが抑えられたとの認識を示した。また、イランとイスラエルの直接的な砲撃の応酬はこれで終わりにすべきとの考えを示した。
米当局者はイスラエルから攻撃前に通知があったが、米国は作戦に関与していないとロイターに語った。攻撃目標にエネルギー施設や核施設は含まれていないと述べた。
イスラエルのネタニヤフ首相は、イスラエルは米国の指示ではなく自国の国益に基づいて攻撃目標を選んだと述べた。
バイデン米大統領は、今回の攻撃は軍事目標のみを狙ったようだとし、これで「終わり」となることを望むと話した。
ハリス副大統領は、「緊張緩和が必要というのが米国の確固とした立場だ」と強調した。
テルアビブの国家安全保障研究所のイラン専門家ベニ・サブティ氏は「イスラエルはイランに対し(報復が)終了し、事態をエスカレートさせたくないというメッセージを送りたいのだろう」と分析した。
オースティン米国防長官は声明で、「(イランは)イスラエルの攻撃に応じるという過ちを犯すべきではない」と訴えた。
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