米共和党のトランプ前大統領=米東部ペンシルベニア州で2024年10月5日、松井聡撮影

 11月の米大統領選の共和党候補、トランプ前大統領は24日、保守系ポッドキャスト番組のインタビューで、返り咲きを果たした場合には自身の刑事事件を担当するスミス特別検察官を「即刻解任する」と述べた。

 トランプ氏は、2020年大統領選の敗北を覆そうとした事件と機密文書を自宅に持ち出した事件を巡って「自身に恩赦を与えるか、特別検察官を解任するか、どちらを選ぶか」と問われ、「非常に簡単だ。すぐに彼を解任する」と述べた。解任した場合に「再び弾劾訴追されるのではないか」との質問には、「そうは思わない」と答えた。

 トランプ氏はスミス氏を解任することで、司法手続きを止めるつもりだとみられる。

 ホワイトハウスから機密文書を持ち出しとされる事件の起訴を棄却(検察側が上訴)したキャノン判事については「すばらしい判事だ」と称賛。米メディアによると、キャノン氏はトランプ氏が復権した場合に司法長官の候補にも名前が挙がっている。

 また、脱税事件などで起訴されたバイデン大統領の次男ハンター氏に恩赦を与える可能性について「選択肢から除外しない。(ハンター氏は)悪い人間だが、(裁判が)国にとって悪いことにも思える」と述べた。

 「不倫関係」を訴えた女性への口止め料支払いを巡って東部ニューヨーク州の親族企業の財務記録を改ざんした事件と、20年大統領選で南部ジョージア州での敗北を覆そうと州当局に違法に干渉したとした事件でも、トランプ氏は起訴されている。どちらも州法違反の事件であり、大統領に返り咲いても自身に恩赦を与えることはできない。

 財務記録改ざん事件では5月に有罪評決を受けたが、量刑の言い渡しは大統領選後に先送りされた。【ワシントン秋山信一】

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