国連貿易開発会議(UNCTAD)は21日、イスラエル軍が戦闘を続けているパレスチナ自治区ガザ地区で仮に停戦した場合でも、域内総生産(GDP)が戦闘前の水準に回復するには「350年かかる」との試算を公表した。報告書では「パレスチナ経済は(イスラエルによる)57年間の占領と17年間のガザ封鎖に制約されてきた」と指摘し、持続的な発展には占領の終結と国際社会の支援が必要だと強調した。
UNCTADはガザ地区の戦闘が始まった昨年10月から今年8月中旬までのデータを分析し、9月に国連総会へ報告書を提出した。
報告書によると、ガザ地区では1月末までに2022年のGDPの7倍にあたる185億ドル相当のインフラが被害を受けた。経済活動はほぼ停止し、20万1000人が失業。45・1%だった失業率は81・7%まで跳ね上がった。
こうした中、復興に多額の海外援助が入り2ケタ成長が実現するとの「楽観的なシナリオ」でも、生活水準が戦闘開始前のレベルに戻るには数十年かかると試算。07~22年の平均成長率(0・4%)に戻ると仮定した場合は、22年と同水準のGDPを回復するのに350年かかると推計した。
ガザ地区はイスラム組織ハマスが制圧した07年以降、イスラエルによる封鎖政策で人や物の移動が厳しく制限されていた。昨年10月に戦闘が始まってからは、少なくとも4万2000人以上が死亡したほか、多くの建物やインフラ、農地などが破壊された。【カイロ金子淳】
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