台湾の顧立雄(こりつゆう)国防部長(国防相に相当)は23日、中国による台湾に対する封鎖は戦争行為とみなされるとし、世界経済に多大な影響を与えるとの認識を示した。中国軍は14日に台湾周辺で主要港の封鎖を想定した大規模軍事演習を行っている。
立法院(国会に相当)外交国防委員会での審議や記者団の取材で答えた。顧氏は、国際法上の封鎖は軍が主導してあらゆる国の船や飛行機を敵の港湾・空港に出入りさせないものを指し、国連総会決議によると侵略の一種とみなされると説明。台湾海峡を通過する海運物流額は世界の5分の1を占めており、中国が封鎖に踏み切れば世界経済に深刻な影響が出るとして、「国際社会は座視しないだろう」と述べた。
今回の演習では正確な「封鎖」区域が示されておらず、台湾側の動揺を狙ったグレーゾーン戦術だとも指摘した。
中国軍は10日の頼清徳総統の演説を受け、過去最多となる延べ125機の軍用機などが参加した演習を展開。「重要な港湾や地域の封鎖・制圧」を訓練内容に挙げ、台北など主要な港湾がある6市に対応する形で六つの演習区域を設定した。
台湾政府は封鎖を想定した食料や医薬品、燃料などの備蓄を進めている。外交国防委員会での説明によると、7カ月分の消費量にあたるコメを各地に保管しているほか、野菜や肉は1年分を生産できるという。衛生福利部(厚生労働省に相当)の幹部は、不足している一部の医薬品について生産ライン増設が可能かどうか業者と協議していると述べた。【台北・林哲平】
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