米連邦議会で演説する岸田首相=11日、ワシントン(共同)

【ワシントン=坂本一之】岸田文雄首相は11日の米議会での演説で、国際秩序の維持に日本が米国と肩を組んで立ち向かうことを訴え、民主、共和両党の議員から大きな拍手を受けた。スタンディングオベーションは16回前後に達し、日本が米国を支える姿勢を示した演説は「とても力強いメッセージだった」と称賛する声が上がった。

演説後に産経新聞の取材に応じた共和党のステファニー・バイス下院議員は、岸田氏がウクライナ支援で米国と連携していく姿勢を示したことなどに関し「米市民が聞く必要があるメッセージだ」と強調。共和党の保守強硬派の反対で軍事支援の追加予算が未成立の中、支援の重要性を説いた岸田氏をたたえた。

民主党のクリス・クーンズ上院議員はウクライナ支援などを巡り「われわれ(議会)は今、政治的な分断や相違を抱えている」と説明。岸田氏の演説は「非常にタイムリーで力強かった」と評価した。

一方、共和党のフレンチ・ヒル下院議員は「米国のリーダーシップは不可欠だが、米国だけでやる必要はない」とのメッセージは、「米外交が80年もの間望んできたものだ」と指摘。「見事な演説で素晴らしかった」と振り返った。ヒル氏は「日米の安全保障、外交、経済における関係は力強い超党派の支持で築かれている」とも語った。

同じ共和党のマイク・ジョンソン下院議長は声明で、「安全で安定したインド太平洋地域に向けたビジョンを聞けて光栄だ」と賛辞を述べた。

ウクライナ支援や核兵器のない世界に関する発言部分では一部議員がスタンディングオベーションに参加しない場面も見られたが、約35分間に及ぶ演説中には大きな拍手が何度も沸き起こっていた。

30年近く下院議員を務める民主党のシーラ・ジャクソン・リー氏は「これまで聞いた日本の指導者の演説で最も印象的だった」と語った。

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