旧ソ連のモルドバでEU加盟の是非を問う国民投票が行われ、賛成がわずかに反対を上回る結果となりました。今後、実際にモルドバがEU加盟に動き出せるのかどうかを専門家に聞きました。
モルドバで20日に行われた、EU=ヨーロッパ連合への加盟を問う国民投票。賛成は50.5%、反対は49.5%で拮抗する結果となりました。
今回の投票を、専門家はどうみているのでしょうか。
朝日新聞論説委員 駒木明義氏
「予想していたよりもEU加盟派が少なく出たと思います」
実は、事前の調査ではEU加盟が多数となるはずでした。
しかし、旧ソ連のなかで最も貧しい国とされるモルドバ。経済状況がさらに悪化するなかで、EU加盟が明るい将来につながるとの確信を持てない国民が多かったことが背景にあるといいます。
朝日新聞論説委員 駒木明義氏
「この状況で無理やり具体的に進もうとすると、また国民の賛否が割れて大きな分断というか、ただでさえロシアの工作とか介入とか、そういうものを受け入れやすいような状況になっている世論がまた混乱するという状況も考えられるわけで、非常に難しいんだろうと思います」
今回ロシアは、買収や偽情報の拡散などを仕掛けたと指摘されています。モルドバを勢力圏にとどめたいロシアにとって、賛成と反対がほぼ同数になったのは「良い結果」で、影響力の行使は今後も続くといいます。
では、加盟を受け入れる側のEUはどう見ているのか。
朝日新聞論説委員 駒木明義氏
「少なくとも過半数がEU加盟に賛成したという結果が出たことは歓迎しますけれども、モルドバは経済的にも非常に小さいですし、EU側から見ても、あす加盟してもらいたいというわけでは全然ないわけです」
今回、同時に行われた大統領選では、EU加盟を掲げる親欧米派のサンドゥ大統領が過半数に届かず、来月3日に決選投票が行われることになりました。
仮に再選を決めても、EU加盟に力強く動きだす状況ではないのがモルドバの現状のようです。
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