経済成長の鈍化が続く中国。景気が悪いなか、なんとかピンチを乗り越えようとしている日本人経営のケーキ店を取材しました。

ショーケースにずらっと並ぶロールケーキやチーズケーキ。この店を北京で10年以上にわたって経営する森田峻亮さん(39)です。

ケーキを食べる習慣があまりなかった中国で様々な工夫を凝らし、今では多くのファンを獲得するまでになりました。そんな森田さんがいま直面しているのが…

ケーキ店経営 森田峻亮さん
「コロナの時のほうがまだ全然売り上げは良くて。むしろ、コロナが落ち着いた後、(景気が)どんどん悪くなっていって」

かつて経験したことがない不景気です。

ケーキ店経営 森田峻亮さん
「テイクアウトも、誕生日ケーキも、ケーキ屋さんの数も体感としては減っていっている」

景気が悪くなると、消費者が真っ先に購入をひかえるのがケーキのような「嗜好品」。その影響を直に受けているというのです。

きょう発表された今年7月から9月までのGDP=国内総生産の実質成長率は、去年の同じ時期と比べてプラス4.6%。前の3か月のプラス4.7%からさらに縮小し、中国政府が掲げる通年の目標「プラス5%前後」も下回りました。

特に深刻なのがGDPの4割近くを占める個人消費の伸び悩みです。政府は消費を刺激しようと家電や車などを対象に補助金を出していますが、その効果は限定的とみられています。

消費者の財布のひもが固くなるなか、森田さんが新たに取り組んだのが“SNS映えするケーキ店”です。

記者
「いまから、ケーキの盛り付けが目の前で行われるそうです。お客さんはその様子を撮影していますね」

ケーキ店経営 森田峻亮さん
「目の前で仕上げたスイーツや派手なパフェはなかなか見られないものなので、たくさんの人に来ていただいています」

客は撮影した写真や動画をSNSで拡散。今年6月、この新たなサービスを売りにしたお店を出したところ、森田さんの狙い通り新しい客の獲得に成功、売り上げは5倍に伸びました。


「SNSでこの店を勧めているのを見て、興味を持ったんです」
「他の店と違って目の前で作ってくれる。さっき、モンブランを見たでしょ」

森田さんは今後の展開についてこう意気込みます。

ケーキ店経営 森田峻亮さん
「(景気が)いつ回復するかわからないのに待っていてもしょうがないので、自分から動いていかないといけないかなと思います」

景気回復の道筋が見通せないなか、いかに客を呼び込むか。森田さんの奮闘は続きます。

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