11月の米大統領選の民主党候補であるハリス副大統領は16日、保守系のFOXニュースのインタビューに応じた。保守層の視聴者が多い「敵陣」のテレビ局に乗り込んで、共和党の反トランプ派の取り込みを狙ったが、聞き手であるキャスターの質問はハリス氏に不利な論点である移民政策に集中。ハリス氏が質問に正面から答えないため、キャスターが答弁を遮って再質問しようとする場面が目立ち、ちぐはぐな印象を残した。
FOXのキャスターは序盤から「(バイデン政権下の)過去3年半に米国内で仮放免された不法越境者はどのくらいいるか」「トランプ前大統領の国境政策を覆したことを後悔しているか」「過去に国境は安全だと言っていたが、いつから危機になったのか」と移民政策で質問を重ねた。
ハリス氏は質問には答えず、今年1~2月に国境管理強化を盛り込んだ法案を共和党の一部と協議したが、トランプ氏の横やりによって連邦議会で廃案になったことを説明。「不法移民の運転免許証の申請や医療保険適用を容認するのか」と問われても、「法律に従う」としか答えなかった。
最近のテレビ出演時に、過去3年半を振り返ってバイデン大統領と政策判断が異なったことが「思い浮かばない」と答えたことについては、「はっきりさせておく。私の政権はバイデン政権の継続ではない」と強調。自身の人生経験を政権運営に生かすとした。
別のインタビューで「米国の最大の敵対国はイランだ」と述べたことについて、「多くの専門家は中国との回答を予想していたが、なぜイランなのか」と問われると、最近のイランによるイスラエルへの攻撃を説明。ただ、中国やロシアよりもイランが脅威であるとする具体的な比較はなかった。
ハリス陣営はインタビューの放送後、「トランプ氏が大統領にふさわしくなく、共和党員もハリス氏を支持していることを視聴者に力強く示した」と自賛。一方、トランプ陣営は「そもそも答えを持ち合わせていないから、質問に正面から答えられないのだ」と批判した。【ワシントン秋山信一】
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