韓国軍は、北朝鮮が15日正午ごろ、北朝鮮と韓国をつなぐ2本の道路と発表しました。
1つは、ソウルと平壌を結ぶ京義(キョンギ)線。もう1つは、朝鮮半島の東側を縦断する東海(トンへ)線。ともに軍事境界線のすぐ北側が爆破されました。
韓国統一省報道官
「南北連結道路の爆破は、南北合意への明白な違反であり、極めて異常な措置として、韓国政府はこれを強く糾弾します」
こうなることを、北朝鮮は6日前に予告していました。
朝鮮人民軍総参謀部(9日)
「大韓民国と連結されている道路と鉄道を完全に断ち切り、堅固な防御構造物で要塞化する工事が行われる。第一の敵国、不変の主敵である大韓民国との国境を永久に遮断、封鎖することは、戦争の抑止と我が共和国の安全を守るための自衛的措置である」
爆破後には、トラックの出入りや、重機による作業が始まりました。
ただ、この爆破、軍事的というより、政治的な意味合いのほうが強いかもしれません。
ソウル支局・山本志門支局長
「京義線と東海線の2つは、南北をつなぐ代表的な道路。特に京義線はソウルと平壌をつなぐ、まさに南北和解の象徴として、かつて物資の運搬などで使われていた。ただ、南北関係が悪化してから、南北縦断という形では使われていない。道路の爆破は、実質的な損害は薄く、ある意味、ショーに過ぎない」
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■「融和の象徴」破壊の狙いはここ四半世紀、南北融和という歴史の舞台となってきたのがこの道です。
京義線と東海線の連結で合意したのが、2000年の首脳会談。連結事業は、夢物語と言われるほど実現困難だと思われてきたことです。着工式の演出には、尋常ならざる期待がにじみ出ていました。
完成後は、米や薬などを支援するルートになり、南北の共同事業・開城(ケソン)工業団地に人々が行き来する光景を生みます。
南北で、離れ離れになった家族が再会する手段にもなりましたが、2008年、南北の関係悪化とともに、往来はできなくなりました。
この10年後、2018年、板門店(パンムンジョム)宣言で、南北の再連結が合意されました。
北朝鮮・金正恩党委員長(当時)
「私たちは、戦わなければならない“異なる民族”ではなく、団結して、仲良く生きていくべき、同じ血統を受け継いだ民族なのです」
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■“第一の敵国”込められた政治的意図この発言から6年。南北の関係は、正反対の状態です
北朝鮮・金正恩総書記(今年1月)
「大韓民国という最大の敵国が、我々の最も近くに存在しています。戦争は、大韓民国という実体を壊滅させ終わらせることでしょう」
北朝鮮は、今年から韓国を“第一の敵国”と位置づけました。今回、爆破された2カ所も、1年近くかけて準備をしてきたとみられています。
ソウル支局・山本志門支局長
「なぜ爆破したのか。韓国、それから北朝鮮に2つの政治的なメッセージがあると思います。南北の応酬が止まらないなかで、(韓国に対し)北朝鮮にとってもゴミ風船を飛ばす以上に、韓国との関係を後戻りできないレベルまで見せつける必要があった。もう一つは、北朝鮮の国内向けです。韓国への憧れが広まっているとされ、放置しておけば、体制の崩壊につながりかねない事態にまでなっているといいます。このため道路の爆破は“憧れをやめろ”と、まさに訣別の象徴を見せつけているんだろうと思います」
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