イスラエルの掘削機がヒズボラのトンネルを破壊する様子を監視する国連部隊=レバノン南部の国境地帯で2019年12月13日、AP

 レバノン南部に展開する国連レバノン暫定軍(UNIFIL)は13日、イスラエル軍の戦車2台がUNIFILの拠点の入り口を破壊し、中に侵入したと発表した。近くでは発煙弾も発射され、隊員15人が皮膚の炎症などの被害にあったという。UNIFILは「イスラエル軍の存在が隊員を危険にさらしている」として抗議した。

 イスラエル軍はイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘のため、レバノン南部に地上侵攻しているが、これまでの戦闘でもUNIFILに負傷者が相次いでいる。

 発表によると、イスラエル軍の戦車は13日午前4時半ごろ、UNIFILの拠点に侵入。約45分後に撤退したが、午前6時40分ごろには約100メートル離れた場所で発砲があった。イスラエル軍は12日にもUNIFILの後方支援部隊の通行を妨害したという。

 一方、イスラエル軍は13日、戦車は負傷した兵士の救出活動のためUNIFILの拠点に数メートル侵入して煙幕を使用したと説明し、「UNIFILを危険にさらしてはいない」と主張した。また、UNIFILの拠点のそばからヒズボラがロケット弾などを発射しており、これまでに兵士2人が殺害されたとして、ヒズボラを非難した。

 UNIFILはレバノン南部の停戦監視などのため、レバノン軍とともに巡回などを続けている。軍は地上侵攻前の9月30日、国境から5キロ以内の地点から撤退するよう求めたが、UNIFILは応じていない。【カイロ金子淳】

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