バイデン米大統領=ホワイトハウスで2024年10月9日、AP

 バイデン米大統領は13日、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が今年のノーベル平和賞に選ばれたことについて声明を発表した。被団協を「悲劇に立ち向かう決意と強靱(きょうじん)さを身をもって示している」と称賛。「核兵器が二度と使用されないようにするために行ってきた歴史的な活動が評価された」とし、米国を代表して祝意を示した。

 声明では、被団協の活動について「何十年にもわたり、核兵器がもたらす壊滅的な人的被害を示す人間的な証しとして、人類が耳を傾けるべき証言を語ってきた」と高く評価。今回の平和賞発表について「核兵器の脅威のない世界を目指して、我々が前進を続けなければならないことを思い出させてくれた」とし、「核兵器のない世界」に向けた決意を改めて示した。

 バイデン氏は、2009年に「核兵器なき世界」を掲げてノーベル平和賞を受賞したオバマ元大統領の下で副大統領を務めた。20年の大統領選では「核兵器のない世界に近づくために取り組んでいく」と路線継承に意欲を表明。就任後は、核兵器の役割を敵の核攻撃抑止や核攻撃への反撃に限定する「唯一の目的」宣言や、核兵器の「先制不使用」を宣言することなどを検討した。

 しかし、ロシアが22年2月にウクライナに侵攻し、核兵器の使用を示唆して威嚇したことなどで核兵器を巡る戦略環境が悪化した。バイデン政権は22年10月に公表した核戦略の指針を示す「核態勢見直し(NPR)」で、核抑止力は「引き続き国家の最優先事項」と強調。「唯一の目的」宣言などの採用を見送った経緯がある。【ワシントン西田進一郎】

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