ここ数カ月、ウクライナ軍はロシアの石油貯蔵施設を集中攻撃している。写真はクラスノダール地方・トゥアプセにあるロシアの石油大手ロスネフチの製油所 Sergan Gmung-Shutterstock
<「重要な標的をまた一つ攻撃」とウクライナ軍。ミサイル部隊とウクライナ国防軍の別の部隊が連携して実施したとしている>
ロシアが実効支配するウクライナ南部のクリミア半島で、ウクライナに攻撃された石油ターミナルから黒煙が上がる様子をとらえたとする衛星画像が公開された。
【衛星画像】クリミア最大の石油ターミナルから立ち上る「巨大な黒煙」...攻撃前との比較で分かる、その被害規模
ウクライナ軍は、クリミア半島最大の石油貯蔵施設であるフェオドシアのターミナルをミサイル部隊が攻撃したことを発表。この攻撃を受けて10月7日未明、同ターミナルで火災が発生した。
ロシアの戦闘遂行能力をかき乱すため、ウクライナは施設を狙ったドローン攻撃を続けている。
ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティーは、人工衛星がとらえたフェオドシア石油貯蔵施設の火災とする画像をソーシャル・メディアに掲載した。
テレグラムの投稿では「フェオドシアの港にある石油貯蔵施設の火災の高画質衛星画像」と説明し、「写真は本日10月8日、現地時間の14時57分に撮影。その時点で燃料タンク少なくとも10基が火に包まれていた。目撃者によると、火は他の石油製品のコンテナに燃え移り、一部が爆発した」と伝えている。
ウクライナ軍はこの攻撃を確認し、「ウクライナ国防軍はロシアの侵略者にとって重要な標的をまた一つ攻撃した」とソーシャルメディアで発表した。
ウクライナ軍参謀本部によると、このターミナルから輸送される石油製品は「ロシア占領軍のニーズを満たすために」使用されていた。
今回の攻撃は、ウクライナ軍のミサイル部隊がウクライナ国防軍の別の部隊と連携して実施した。目的はロシアの軍事力と経済を「弱体化させる」ことだったとしている。
欧州政策分析センター(CEPA)の客員シニアフェロー、オーラ・サバドゥスは「ここ数カ月でウクライナは、ロシアが戦争を続けるために必要な燃料だけでなく、収入も奪う目的で、数十カ所の石油貯蔵施設を攻撃している」と本誌に語った。
「国内の燃料不足をあおって住民にも影響を与えている。クリミアの燃料貯蔵施設に対する夜間攻撃は、同施設がこの地域で最大の積み替え拠点であり、ロシア占領軍に貢献していたことを考えると、さらに重大だ」
「同半島のロシア軍を弱体化させる目的とは別に、クリミア半島を必ず奪還するというウクライナの強い決意を見せつけた」と、サバドゥスは解説している。
一方、ロシアが据えたクリミア占領当局はウクライナ軍による攻撃を認めていない。
占領当局のオレグ・クリュチコフ首長顧問は「フェオドシアの石油貯蔵施設で火災があった。緊急隊が現場に出動している。死傷者の報告はない」とテレグラムに投稿した。
石油生産を担うクリミア半島最大のフェオドシアターミナルは、今年3月にもウクライナのドローン攻撃の標的にされた。
この時はドローン4機が施設を攻撃して主燃料パイプラインを損傷させ、鎮火に1時間以上かかる火災を発生させた。
ここ数カ月でウクライナ軍は、ウラジーミル・プーチン大統領の戦争に火を注ぐ石油産業の収益に打撃を与えようと、石油貯蔵施設や精製施設を狙ったドローン攻撃を展開している。
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