ノーベル文学賞に決まった韓江さんの著書が並べられた書籍コーナー=東京都新宿区で2024年10月10日午後8時16分、藤井達也撮影

 韓国の作家、韓江(ハンガン)さんがアジア人女性で初めてノーベル文学賞を受賞し、東京都内の書店に来ていた日韓の文学ファンからは「喜ばしい」などの声が上がった。

 今回の文学賞は、日本人らアジアからの受賞も有力視されていた。紀伊国屋書店新宿本店(新宿区)は10日に発表の瞬間を映し出すスクリーンを設け、50人ほどの客がライブ中継を見守った。

韓江さんの代表作「菜食主義者」を手に笑顔を見せる佐々木静代さん(左)と韓国文学ブックカフェ「チェッコリ」の店長、金之英(キム・ジヨン)さん=東京都千代田区神田神保町1で2024年10月10日午後9時29分、木原真希撮影

 午後8時ごろ、韓さんの受賞が決まると、「おー」と店内のあちこちから拍手が湧き起こった。韓国人で東京都文京区在住の会社員、金栄俊(キムヨンジュン)さん(32)はノーベル文学賞受賞に「予想していなかったので驚いた。韓国人初なのでうれしいです」と感激した様子だった。

 金さんは、これまで韓さんの小説を5、6冊読んだことがあり、「私と同世代の人は、ほとんどが知っている作家です。Kポップや映画は世界で認められてきましたが、小説の世界で韓国の作品が認められたのはすごいことだと思います」と話した。

 発表直後から、店内には特設コーナーが作られ「別れを告げない」や「菜食主義者」など韓さんの代表作品が並べられた。

 韓さんの「すべての、白いものたちの」が好きだという東京都板橋区の神沢透さん(59)は「隣国の人間としても喜ばしいです。韓さんは展開の読めない作品で、読むのが楽しい」と話した。また、茨城県つくば市の蒲原和久さん(61)は「(文学賞の有力候補だった)村上春樹さんは残念でしたが、アジア人が受賞してうれしいです」と語った。【島袋太輔、深津誠】

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