ウクライナの情報当局によると、ロシア軍部隊は北朝鮮からきた武器弾薬を大いに活用している(写真は1月31日、ウクライナ軍戦車部隊) Latin America News Agency via Reuters Connect

<ウクライナにとって「最悪の問題は北朝鮮からくる」── 北朝鮮から武器弾薬が搬入されると数日後にはロシア軍が大規模攻勢に出てくる、というパターンまで明らかになり、北朝鮮に「直接攻撃」を仕掛けることにした>

今やロシアの「主要な同盟国」になった北朝鮮から提供された武器弾薬が保管されているロシア西部のブリャンスク州の兵器庫に、ウクライナ軍が夜を徹して攻撃を加えた模様だ。

【動画】兵器庫から上がる火の手。弾薬誘爆の音が特徴的

「大規模な兵器庫が燃え上がる炎で夜空を明るく照らされた」と、ウクライナ政府系の戦略的通信センター・SPRAVDIが9日に伝えた。

兵器庫では一晩中爆発が続き「夜明けまで続いた」と、SPRAVDIはソーシャルメディアの公式サイトで述べた。ウクライナの攻撃だとはっきり認めたわけではないが、「ロシアの戦争マシンを回している兵站、武器、石油産業の3つを完全に解体することが平和への唯一の道だ」と間接的に認めている。

この兵器庫は、ウクライナとの国境から114キロ程離れたブリャンスク州の町カラチェフにあると、ウクライナ国家安全保障防衛会議の幹部アンドリー・コバレンコがメッセージアプリのテレグラムに投稿した。「ここには北朝鮮が提供した武器弾薬や対空砲などが保管されている」

ロシア非常事態省は「9日にカラチェフ周辺で爆発物の爆発があった」ことを確認したとして、非常事態を宣言した。

武器弾薬は「北朝鮮頼み」

カラチェフ近くで9日に撮影したとされる爆発の映像がネット上で多数拡散されているが、本誌はその真偽を確認できていない。

ロシアのテレグラム・チャンネルが公開した映像では、カラチェフの住民らが兵器庫のほうから「炎が上がった」、「弾薬が爆発した」などと語っている。

本誌はロシア国防省にメールで確認中だ。

ロシア政府は9日、前夜から未明にかけて飛来した47機のウクライナのドローン(無人機)のうち、24機を迎撃したと発表したが、詳細は明らかにしていない。

ブリャンスク州のアレクサンドル・ボゴマス知事は、「死傷者も損害も一切ない」と述べたが、救急隊員が現場周辺の数カ所に出動した。

ロシアは2022年2月のウクライナ侵攻開始後、西側の制裁を科され、イラン、中国、北朝鮮などの友好国への軍事依存を強めている。長引く戦闘でロシアの武器弾薬は底を突き、国内の防衛産業がフル操業しても前線には十分に届かないありさまで、北朝鮮が大量に送り込む兵器はロシア軍の頼みの綱だ。

北朝鮮はロシアの「兵器工場」と化し、これまでにコンテナ数千個分の武器弾薬をロシアに密輸してきたと、アメリカと韓国当局は述べている。

北朝鮮の武器提供は「非常に悩ましいが、これまで打つ手がなかった」と、ウクライナ国防相情報総局のキーロ・ブダノフ局長は9月に明かした。

北朝鮮の武器弾薬がロシアに搬入されたとの情報が入ると、その数日後には決まって、前線でロシア軍が大規模な攻撃を開始する、とブダノフは言う。「われわれが直面している最悪の問題は、北朝鮮から来る」

西側がウクライナに供与した長距離兵器はロシア領内への攻撃には使えないことになっているが、ウクライナとしては何としてもロシアの兵器庫をたたきたい。

ウクライナ軍は最近、ロシア南部のクラスノダールと北西部のトベリ地方の兵器庫をドローンで攻撃した。ウクライナによれば、クラスノダール地方のチホレツクにある兵器庫は、ロシアの「三大弾薬庫の1つ」で北朝鮮が提供した弾薬も保管されているという。

国連安保理の制裁を受けているにもかかわらず、北朝鮮はロシア向けとみられるミサイル開発を急ピッチで進めている。ウクライナによれば、ロシアは昨年末からたびたび短距離弾道ミサイルKN-23などの北朝鮮製ミサイルをウクライナ領内に撃ち込んできている。

北朝鮮将校がロシアで「戦死」

ウクライナ保安庁は今年2月、ロシアは昨年12月末から20発超の火星11型ミサイル(KN-23とKN-24)をウクライナ領内に発射し、少なくとも20数人の民間人を殺害したと発表した。

ロシアが北朝鮮製ミサイルをウクライナ攻撃に使っているという公開、非公開の情報は山ほどあると、英シンクタンク・国際戦略研究所のフェービアン・ハインズ研究員は今年初め、本誌に語った。

韓国の金龍顕国防相は8日、北朝鮮がウクライナ戦争への介入を一段と深め、自国の兵士をロシアに派遣する可能性があると述べた。

金国防相は国会議員の質問に答えて、「ロシアと北朝鮮は軍事同盟に準ずる相互条約を結んだので、派兵の可能性は非常に高い」と語ったと、韓国メディアが伝えた。ロシアと北朝鮮は軍事協力の強化で合意し、今年6月「包括的戦略パートナーシップ条約を締結している。

ウクライナのメディア、キーウ・ポストは10月4日、匿名のウクライナ情報筋の話として、ウクライナ東部ドネツク州のロシアの実効支配地域で、ウクライナ軍のミサイル攻撃により北朝鮮軍の士官6人が死亡したと伝えた。

韓国の通信社・聯合ニュースの報道によれば、金国防相はこの情報について聞かれ、事実である可能性が高いと述べたという。


【動画】兵器庫から上がる火の手。弾薬誘爆の音が特徴的

Guess they didn't move everything that back. The 67th GRAU arsenal in Karachev, near Bryansk, is now feeling it with secondary explosions after a successful drone attack. pic.twitter.com/KvJBo2F6nn

— Maria Avdeeva (@maria_avdv) October 9, 2024


Lots of secondary detonations at the weapons depot struck by the AFU last night in Karachev, Bryansk

North Korean shells were thought to be there. Putin is gonna have to give little rocket man more goats to get more shells

pic.twitter.com/ynjQGzCoqp

— Rocke Fella - NAFO Raccoon △ (@NAFORaccoon) October 9, 2024

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