米軍のF-16戦闘機 Yuriko Nakao-Reuters

<AIの導入によって「戦闘機同士」の空中戦はどう変わるのか。「人類vs人工知能」の戦いの結果を米軍は発表しなかった>

米軍は、人間のパイロットが操縦する戦闘機と、人工知能(AI)が操作する自律飛行試験機を使用した画期的な「模擬戦」を実施したと発表した。米空軍基地の上空で行われた初の「人類vs人工知能のドッグファイト」の様子は、動画でも公開された。

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これはF16戦闘機を大幅に改造したX62A可変飛行安定性試験機(VISTA)と別のF16戦闘機が、空中で接近戦(ドッグファイト)を行ったもの。米軍によれば今回の模擬戦は、AIの導入によって戦闘機を使用した空中戦がどのように変わり得るかを示すという。

米防衛先端技術研究計画局(DARPA)は4月17日、2機のジェット戦闘機が互いの視界範囲内で、最大時速約1900キロメートルで飛行する様子を捉えた動画を公開した。自律飛行試験機は防御と攻撃の両方の軌道を試し、有人パイロットが操るF16戦闘機から約610メートルのところまで接近したと説明した。

この模擬戦は2023年9月に米カリフォルニア州カーン郡にあるエドワーズ空軍基地の上空で行われたものだ。米軍はこのドッグファイト(視界範囲内での敵機との交戦)の「勝敗」については明かさなかった。

科学メディア「ザ・デブリーフ」は今回の模擬戦について、2019年からAI制御の航空機を使用した自律戦闘システムの開発を行ってきたDARPAの空中戦革新プログラム(ACE)の大きな進展を示すものだったと報じた。

22年からプログラムを開始し10万行超に及ぶコード修正

ACEのプログラム・マネージャーを務めるライアン・ヘフロン米空軍中佐は19日に記者団に対して、「私たちが期待していた以上に順調な進展がみられる」と述べたが、「それ以上に詳しいことは言えない」とした。

フランク・ケンドール米空軍長官はDARPAが公開した動画の中で、X62Aチームが機械学習ベースの自律飛行機能を使ってダイナミックな空中戦を安全に行う方法を示したと説明。さらに2023年は「ACEが空中での機械学習(AI)活用を実現した年」だったとつけ加えた。

今回のプログラムは2022年12月に開始され、X62Aはこれまでに21回の試験飛行を実施。その結果、10万行以上に及ぶソースコードに修正が加えられてきた。

ケンドールは4月に入ってから米上院の公聴会で、「年内に自律飛行のF16に乗る予定」だが、パイロットはAIが機能するのをただ見守るだけになると述べた。「上手くいけばパイロットも私も、航空機を操縦する必要はないだろう」

米空軍テストパイロットスクールの主任テストパイロットであるビル・グレイは、今回のACEプログラムは単なる空中戦ではなくドッグファイトにも焦点を当てたものだと述べた。

「空中で自律型AIシステムの試験を開始するにあたっては、空中戦の問題を解決する必要があった」とグレイは動画の中で述べ、しかし「今回の研究は自律システムにもたらされ得るあらゆる課題に適用される」と述べた。

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