オーストラリアのアルバニージー首相=キャンベラで2024年9月10日、AP

 2026年に開催される国連気候変動枠組み条約第31回締約国会議(COP31)の開催国にオーストラリアが名乗りを上げている。気候変動で最も影響を受ける近隣の太平洋島しょ国との共催を予定しているが、島しょ国の一部からは豪州が抱える「矛盾」に疑問の声も上がっている。

 COPは国連が分類する五つの地域グループの持ち回りで開催される。26年は「西欧・その他」グループの番で、11月までに開催国が発表される予定だ。

 豪州のモリソン前政権は温室効果ガス排出量を30年までに28%(05年比)削減するとし、消極姿勢が批判された。一方、22年に誕生した労働党のアルバニージー政権は削減目標を43%に設定するなど、気候変動対策を重視。COP開催国となることは、積極姿勢を示す機会だと捉える。

 しかし、ドイツの研究機関「クライメート・アナリティクス」が今年8月に発表した報告書は、23年に豪州から輸出された化石燃料の二酸化炭素(CO2)排出量は12億トンで、国内の排出量の3倍に上ると指摘。世界3位の化石燃料輸出国として、輸出先の国のCO2排出に責任があるとしている。

 この報告書を受け、豪州の気候変動対策について地元メディアは「詐欺だ」などと指摘。COP開催国の資格を疑問視する声が国内外から相次いだ。

 気候変動問題に取り組む島しょ国の若者らがつくる団体は「オーストラリアの具体的な行動なくしてCOPは成功しない」として、豪州に対し化石燃料の輸出見直しを要求。マーシャル諸島のハイネ大統領も、8月に開かれた太平洋島しょ国間の会議で、COP31を豪州で開催するのであれば「化石燃料の段階的な廃止について、豪州が良い話をしてくれることを望む」とくぎを刺した。

 島しょ国の元首脳らとこの問題で政策提言をしてきたキリバスのトン元大統領は「島しょ国は世界中で排出される温室効果ガスの影響を受けている」と指摘。「オーストラリアは、矛盾を抱えたままCOP31を主導することが正しいのか、今一度考えるべきだ」と話した。【バンコク石山絵歩】

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