破壊されたロシア軍の戦車(写真は6月2日、ハルキウ北部で撮影) Jose HERNANDEZ Camera 51-Shutterstock
<「溶岩の2倍相当」の高熱テルミット攻撃にロシア軍は頭を悩ませている>
ウクライナ国防省が、ドローンの投下した「溶融テルミット」でロシアの戦車を破壊する場面とみられる映像を公開した。ウクライナ第30機械化旅団のものとされる26秒の映像は、ウクライナ政府によって10月4日、X(旧ツイッター)に掲載された。
【動画】ロシア戦車が次々炎上、ウクライナ軍の「ドラゴンドローン」攻撃...溶融テルミットを浴びせる衝撃映像を公開
ウクライナの「ドラゴンドローン」がロシア軍の拠点にテルミット焼夷弾を投下する映像は、この数週間の間に多数が浮上していた。サイエンスチャンネルによると、アルミニウムと鉄さびを混ぜたテルミットは2200度を超す高温で燃焼し、溶岩の2倍もの熱さになるという。
4日の映像では、前進していたロシアの戦車が地雷またはウクライナ軍のロケット弾に当たって爆発し、損傷。そこにドローンが上空から接近して溶融テルミットを投下すると、戦車は発火して炎に包まれた。
映像の撮影場所は不明で、この動画の詳細を本誌は確認できていない。ロシア国防省とウクライナ国防省に電子メールでコメントを求めている。
ウクライナ軍によるテルミットドローンの使用は、テレグラムで100万人以上のフォロワーを有するロシアの人気軍事アカウント「Two Majors」でも9月に伝えられていた。
Two Majorsは「(ウクライナ軍は)テルミット弾を投下する新型ドローンも手に入れた。これが我々の頭痛の種になっている」とコメント。
「まず我々はネットを張ってドローンがダグアウトに飛来できないようにした。次にドローンの熱探知カメラに映らないようケープやブランケットで覆い、今はどうすれば新型ドローンに焼かれずに済むかを考える必要に迫られている」
5日にウクライナ国防省が公表したグラフによると、ロシア軍の死傷者は過去24時間で1280人に上り、2022年2月の侵攻開始以来の合計では65万9220人になった。
さらに、ロシア軍は過去24時間で戦車8両、歩兵戦闘車31両、大砲72門を戦場で失ったとしている。こうした数字について本誌独自には確認できていない。
これとは別に、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官は、もしアメリカが先に核兵器実験を行えば、ロシアも実験再開を厭わないと発言した。ただしアメリカが核実験再開を計画している兆しはない。
リャブコフなどロシア当局者から核兵器の使用をほのめかす発言が相次ぐ背景には、ウクライナに対する西側の軍事支援を思いとどまらせる狙いがあるようだ。
ウラジーミル・プーチン大統領が2022年9月にロシアに併合したウクライナのドネツク州で、ロシア軍は代償を伴いながら徐々に前進している。
アメリカのシンクタンク、戦争研究所(ISW)のロシア研究員アンジェリカ・エバンズによると、ロシアは10月3日時点でウクライナのルハンシク州の98.8%を掌握している。ドネツク州とハンシク州はドンバス地方を構成する州だ。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。