イスラエルと親イラン武装組織「ヒズボラ」との戦闘が続くレバノン。

首都ベイルートでは、3日もイスラエルからの空爆があり、少なくとも6人が死亡したといいます。

一方のイスラエルは2日、レバノン南部での地上侵攻で兵士8人が死亡したことを発表。
地上侵攻開始後、イスラエル側に死者が出るのはこれが初めてです。

兵士の命を犠牲にしても攻撃の手を緩めないイスラエル。

ネタニヤフ首相は、大規模なミサイル攻撃に出たイランに対して「代償を支払うことになるだろう」と報復を宣言していて、紛争拡大は避けられない見通しです。

アメリカメディアは、イスラエルが数日以内に大規模な報復を開始し、イランの核施設を攻撃する可能性もあると報じています。

対するイラン側も、イスラエルが攻撃してくれば報復ははるかに厳しくなると警告。
今後、中東での紛争が拡大するおそれが高まっています。

中東情勢の悪化を受け、日本政府は航空自衛隊の輸送機2機をレバノン周辺国に派遣し、現地日本人の国外退避に向けた準備を進めています。

イスラエルが今度イランへ報復する可能性はあるのか、フジテレビ・立石修解説委員室長がお伝えします。

立石修解説委員室長:
ネタニヤフ首相の必ず代償を払うという発言ですけども、他の政府高官の発言を聞いてもこれは近く確実に行われると思います。規模も大きなものになると指摘されています。
攻撃対象は核施設というのもありましたが、これはアメリカが反対をしている中で、石油施設など非常にイランにとって重要な施設への攻撃が考えられます。


日本の影響はどうなのか見ていきます。

日本は、原油をアラブ首長国連邦(1位)、そしてサウジアラビア(2位)から輸入しています。
イランからの直接の輸入はないんですけれども、9割以上を中東からの輸入に頼っている現状があります。

第一生命経済研究所の永濱利廣主席エコノミストによりますと、今回のイスラエルとイランの衝突で緊張感が高まって、今回も世界的に原油高となるおそれがあるという話でした。

具体的な影響を見ていきます。

これから冬になりますと光熱費がかかると思いますが、電気・ガス・ガソリンといったところも値上げの可能性があるということです。

さらに紛争が長引いて原油高が続けば、様々なものの値上げに拍車がかかるのではという見立てでした。

──この影響が心配だと思うんですが、あとは他にも何かありますか?

原油以外にも食品にも影響が出てくるおそれがあります。

原因は、輸送ルートが閉ざされるからです。
今、イスラエルはガザ地区、レバノンだけでなく、シリア・イラク・イランといった7つの地域と武力衝突している状況です。

そのうちの1つイエメンには、ハマス、ヒズボラといった親イラン武装組織のフーシ派というのがいます。

紅海は日本の輸入業にとってとても重要なルートですが、イスラエルと関係ある国の船を攻撃しているので今、通れない状況になっています。

ここを通れないため、アフリカの西側を通って日本に輸入しているルートをとっているため、その分コストがかかって値上げの要因になっているということです。

例えば、食品で今後影響が出そうなのがオリーブオイルとかです。

9割以上をスペイン・イタリアといった国に頼っているので、さらに高くなってしまうということでした。

──輸入ルートの問題は影響は長引きそうなんですかね?

立石修解説委員室長:
どうしてもレバノン情勢に目が行っていますが、実はイスラエルは9月29日にフーシ派、イエメンのほうにミサイル攻撃をしています。したがって、このルート紅海のルートはまだ難しい。となると、オリーブオイルの価格はいきなり下がるとかいうことは考えにくいかなと思います。

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