イスラエル軍の砲撃を受けたレバノンの建物。イスラエル北部の国境の都市キリヤット・シュモナより(10月1日) REUTERS/Jim Urquhart
イスラエルの生存を脅かすものは許さないと、ガザのハマスに続いてレバノンのヒズボラに攻撃を開始。攻撃は「限定的」と言うが本当にそれで済むのか
イスラエル国防軍(IDF)は、レバノンのシーア派組織ヒズボラの無力化を目的とするレバノン地上侵攻を開始したと発表した。1年近いガザ地区での戦闘に伴い、イスラエルとレバノンの国境をはさむ交戦も悪化してきた結果だ。
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IDFは、9月30日付けの声明で、「政権の決定に従い、IDFは数時間前、レバノン南部で限定的かつ局所的な、標的を絞った地上攻撃を開始した。これは、標的となるヒズボラのテロリストたちやインフラに関する正確な情報にもとづいたものだ」と述べた。「これらの標的は、国境に近い複数の集落に存在し、(レバノンと国境を接する)イスラエル北部のイスラエル人地域社会にとって差し迫った脅威となっている」
IDFによれば、参謀本部と北部司令部が立案した「入念な計画」に沿って作戦が進められているという。部隊は、これまでの数カ月にわたって、国境をまたいだ作戦の訓練を受けてきた。IDFの空軍と砲兵部隊による支援も受けることになっている。
敵の精神的支柱を折る
「IDFは、戦いの目的を達成すべく作戦を継続する。イスラエル国民を守り、イスラエル北部の避難民を帰還させるために必要なことはすべてやる」と、IDFは述べている。
数日前には、イスラエルはベイルート南郊のダヒエ地区に大規模な空爆を行い、ヒズボラの最高指導者で精神的支柱であったハッサン・ナスララ師を殺害、ヒズボラに大きな打撃を与えた。ガザのイスラム組織ハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛け、イスラエルが報復攻撃を始めると、イランが支援するヒズボラは「ハマスと連帯」してイスラエルにロケット弾やミサイル、ドローンを発射してきた。
一方、国境をはさんでイスラエルと対峙するヒズボラは、イスラエル北部に対してこれまで通り攻撃を続けていると発表した。9月30日の終日を通して、「ガザ地区にいるパレスチナの人々を支援し、その勇敢で尊敬すべき抵抗を援護し、レバノンとその民を守り、野蛮なイスラエルによる都市、町、文明への侵攻に応戦するために」、少なくとも12件の個別の作戦をおこなったと発表した。
またヒズボラのナンバー2であるナイム・カセム師がナスララの死亡後初めて演説し、イスラエルはヒズボラの中核的な軍事能力を損なうことはできていないと語った。カセムは、イスラエル軍の撤退により終結した2006年の前回の紛争の経験を述懐した。
「イスラエルが地上侵攻を決めたのなら、こちらも準備はできている」とカセムは述べた。「ヒズボラの部隊は、地上で交戦する態勢を整えている。われわれには覚悟と準備がある。神を信じるわれわれは、イスラエルの敵たちが目標を達成できず、この戦いで勝利を収めるのはわれわれであることを確信している」
この1年で交戦が激しさを増した結果、イスラエル北部のコミュニティで暮らす6万7000人のイスラエル人が避難を余儀なくされた、とイスラエル当局は述べている。一方、世界保健機関(WHO)によれば、レバノン全域へのイスラエルによる攻撃や侵攻の脅威の結果、レバノンでは100万を超える人が移住を強いられているという。
(翻訳:ガリレオ)
■大爆発──ヒズボラ、ハマスと仲間のフーシ派にも鉄槌
9月29日、イスラエルの戦闘機がイエメンのフーシ派拠点で港湾都市のホデイダを爆撃。発電所や港湾施設を破壊した。
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