5回目の挑戦で悲願を達成して自民党新総裁に就任する石破茂氏は、安全保障政策のエキスパートを自任する。日米同盟を米英と同等に引き上げ、日本をより自立した「普通の国」に変えると主張する。都内で27日撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

5回目の挑戦で悲願を達成して自民党新総裁に就任する石破茂氏は、安全保障政策のエキスパートを自任する。日米同盟を米英と同等に引き上げ、日本をより自立した「普通の国」に変えると主張する。

「米英同盟並みに日米同盟を引き上げることが私の使命」──。石破氏は今月23日、米ハドソン研究所の求めに応じて提出した自身の外交政策にこう盛り込み、日米安全保障条約を「非対称双務条約」から対等な条約に変えることを目指すと主張した。


 

日米安保条約の下、日本は米軍に基地を提供する義務を、米国は日本を防衛する義務を負う。しかし、今月6日にロイターのインタビューに応じた石破氏は、北朝鮮が米国本土に届く弾道ミサイルを保有したことが「劇的な変化だと思っている」と語った。

核弾頭を積んだ大陸間弾道ミサイル(ICBM)が北朝鮮から米国本土に飛来するリスクが出てきたことで、米国は日本を守るための核使用を躊躇(ちゅうちょ)する可能性がある、との見方だ。石破氏はハドソンに提出した外交政策書で、「これに中国の戦略核が加われば、米国の当該地域への拡大抑止は機能しなくなっている」との認識を示した。

石破氏は小泉純一郎内閣で防衛庁長官、福田康夫内閣で防衛相を歴任し、有事法制の制定や米軍基地の再編などに取り組んだ。「日米同盟とは何か、これからどう変わっていくべきか。私が防衛庁長官の時からずっと米国と議論してきた」とロイターのインタビューで話した。

米戦略国際問題研究所(CSIS)の日本部上席研究員でアジア担当副部長のニコラス・セーチェーニ氏は、「石破氏は争点となる課題について限界に挑もうとするのかもしれない」とみる。

その一つが、在日米軍の法的地位を定める日米地位協定の改定だ。日本の法律が適用されないなど特別な地位を在日米軍に与えており、特に基地が集中する沖縄県には負担となってきた。

石破氏は、自衛隊を米国に駐留させることで両国の地位協定を同レベルにすることをハドソンに送った政策書で提言している。また、安全保障を米国だけに依存しない「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」を創設する構想も提示している。

安全保障で自立を目指す姿は、1959年から69年までフランスを率いたシャルル・ド・ゴール大統領と重なる。石破氏をよく知る関係者によると、自身もド・ゴール氏に言及することがあるという。一方で、米国とともに第2次世界大戦を戦った英国のウィントン・チャーチル首相も話題になるという。



[ロイター]


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