日米豪印の4カ国の協力枠組み「クアッド」の首脳会議が21日午後(日本時間22日午前)、米東部デラウェア州で開かれる。米政府高官によると、日米豪印の海上保安機関による合同訓練の定例化を発表する。インド太平洋地域で人道支援や災害救助が必要になった場合、自衛隊や各国軍の輸送船・輸送機を共同で運用する枠組みも創設する。
米高官によると、海保機関の合同訓練はインド太平洋地域で実施する。初回は米国の沿岸警備隊の艦艇に日豪印の海上保安当局者が同乗して行い、その後はホスト国をローテーションさせる方向だ。インド太平洋の域内各国の海上監視能力を向上させるため、日米豪印が衛星データなどを提供する取り組みを強化し、先端技術の提供や訓練を拡充する。
海上監視能力の向上には、中国などによる違法漁業や不審船への対策を強める狙いがある。日米豪印が主体となって取り組むだけでなく、域内各国との連携で監視網を広げたい考えだ。
一方、災害時や人道支援で効率的に物資や人員を輸送するため、自衛隊や各国軍の艦船・航空機による輸送能力を融通し合う取り組みも発表する。新型コロナウイルスのワクチン提供に関する協力の枠組みを活用し、インド太平洋地域の域内各国に子宮頸(けい)がんのワクチンや治療手段を提供する取り組みでも合意する見通しだ。
日豪印には、多国間協力に消極的な共和党のトランプ前大統領が11月の大統領選で返り咲きを果たした場合、クアッドの連携強化の機運がしぼむとの懸念もある。こうした懸念に配慮し、米連邦議会の超党派議員は20日、上下両院合同の「クアッド議員連盟」を立ち上げると発表した。予算編成や立法の権限を握る議会が下支えすることで、連携を持続可能にする狙いがある。
今回の首脳会議は、ホスト役のバイデン米大統領の地元で開かれ、岸田文雄首相、インドのモディ首相、オーストラリアのアルバニージー首相が参加する。【ワシントン秋山信一】
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