ポケベル爆発による負傷者を病院へ搬送する人たち=レバノン・ベイルートで2024年9月17日、ロイター

 レバノンでイスラム教シーア派組織ヒズボラの通信機器などが一斉爆発して多数が死傷した事件を受け、国連安全保障理事会は20日午後に緊急の公開会合を開いた。暴力の連鎖への懸念が広がる中、理事国や国連から透明性のある調査を求める声が上がった。

 ターク国連人権高等弁務官は、一連の爆発による死者は子どもを含む少なくとも37人に達していると報告。通信機器の「兵器化」について、「民間人に恐怖を広めることを目的とした暴力行為で戦争犯罪にあたる」との見方を示し、独立した調査を求めた。

 緊急会合の開催を要請したアルジェリアは、イスラエルを名指しして「意図的かつ無差別の攻撃」だと非難。当事国のレバノンは「安保理がこのテロ攻撃の実行者を名指しせず、非難もしなければ、信頼性が損なわれる」などと訴えた。

 一方、イスラエルは通信機器の爆発には直接触れることはなく、「本当の問題はレバノンではない。問題はヒズボラだ」と主張した。イスラエルを擁護する米国は外交的解決の必要性を強調する一方、ヒズボラを支援するイランに批判の矛先を向けた。【ニューヨーク八田浩輔】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。