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 アメリカ大統領選のトランプ前大統領(共和党)とハリス副大統領(民主党)による、初のテレビ討論会が行われた。テレビ朝日外報部の中丸徹デスクが討論会の裏側を分析した。

【映像】トランプvsハリスの激しい攻防(討論会の様子)

 中丸氏によると、ハリス氏は戦いの裏で、トランプ氏のそっくりさんを「ダミートランプ」として用意し、数日間にわたって対策してきたという。

 「細かく見ると、ハリス氏がうまい手を打っている。例えば『トランプ中絶禁止法案』と、まだやってもいないことにレッテル貼りをして批判する」と解説する。「(トランプ氏は)自分の名前をブランドだと思っている」として、「急に感情的になって反論する。ハリス陣営の作戦に、まんまとハマった」との見方だ。

 ハリス氏が「トランプ中絶禁止令は、レイプや近親相姦でさえ例外としない。犯罪や暴力の被害者は、自分の体がどうなるかを決定する権利を持っていない。不道徳だ」と断じると、トランプ氏は「私は中絶禁止なんて言っていない。中絶は州の権限に戻すべきだ」と反論した。

 また討論会でトランプ氏は、「スプリングフィールドの街では、不法移民が犬や猫を食べている。そこに住む人々のペットを食べている。これが我が国で起こっていることは恥ずべきことだ」と発言し、その場で司会者からファクトチェックが行われた。

 中丸氏は「トランプ氏の焦りが出ていた。司会者から詰められて、言った情報ソースが『テレビで見た』。これを見て『大丈夫か』と思った中間層は多い。それが自滅につながり失点した」と予想する。

 ハリス氏は「ペット食べちゃう発言」にも、「極端な話だ。これが今回の選挙で私が200人の共和党員から支持を得ている理由の1つだと思う」と、すかさず反撃した。

 インフレについての攻防も、ハリス氏に分があったという。バイデン政権でのインフレを「我が国史上最悪だ」と批判したトランプ氏に、ハリス氏は「トランプ氏は大恐慌以来、最悪の失業率を残した」とやり返す。中丸デスクは「フレッシュな分、未知数なのがハリス氏最大の弱点。トランプ氏はそこを突くべきだった」と語る。

 トランプ氏の“焦り”は、討論会終了直後に突如、報道陣の前に姿を見せたことからも感じられた。トランプ氏は「ハリス氏は今夜負けた」と勝利宣言をしたようだったが、中丸デスクはこの行動こそが、負けを認めていると分析する。「基本、本人ではなく、陣営が出てくる。トランプ氏が出てきたことが異例で、負けたと思い、焦って出てきたのではないか」。

 一方で、トランプ支持層も強固だ。「ハリス氏はしのいだだけで、素晴らしいところを見せたわけではない。メディアからハリス氏の能力に対してチェックが行われていく“関門”は残っている」(中丸デスク)。

 CNNの世論調査は、6月のテレビ討論会でトランプ氏67%、バイデン氏33%だったが、今回の討論会ではハリス氏63%、トランプ氏37%と逆転した。国際政治学者の舛添要一氏は、「世論調査で『討論会を見て、投票先を変える』と答えたのは4%だけ」と説明し、「これから約50日間で、どういうことが起こるか」と動向を注視する。

 政治ジャーナリストの青山和弘氏は、討論会では「ハリス氏が優勢だった」としつつ、「決定打とは思わないが、ハリス氏は流れを断ち切らなかった。ただ、大統領選は激戦州で決まる。オクトーバーサプライズの可能性もある」と、今後を見通す。

 舛添氏は支持者にも触れる。「(歌手の)テイラー・スウィフトが、ハリス氏を支持した。彼女経由で有権者登録したのは45万人。一定の影響力はあるが、決定的かどうかはわからない」とした。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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