SNSを始め、様々なサービスを展開する巨大IT企業に対する各国の包囲網が迫っています。アップルは巨額の追徴課税を求められる事態となっています。「納税逃れ」との指摘も上がる中、いったい何が問われているのか。手作りフリップでお伝えします。

■世界各国で「SNS規制」強まる

SNSの運営会社に対する各国の包囲網は強まっています。

アメリカ上院の公聴会に呼ばれた運営企業のトップ5人。

重鎮議員が言い放ったのがこの言葉…「あなたたちの手は血で汚れている。人を殺すモノを持っている」

SNSを利用する子どもたちが自殺したり、性的搾取を受けている現状を強い言葉で非難したのです。そのアメリカでは、40以上の州がザッカーバーグ氏のメタ社を提訴。オーストラリアでは、子どものSNS利用を禁止する法案が年内に提出される予定です。イギリスでは、「オンライン安全法」が成立。来年施行されれば13歳未満はアカウントが持てなくなります。

一方、日本では多くのSNSが利用を「13歳以上」としていますが、小学校高学年でTikTokの利用者は26%にのぼり、事実上、機能していません。

■「納税逃れ」? GAFAにも“包囲網”迫る

巨大IT企業に対する規制の広がりはSNSだけにとどまりません。

GAFAと呼ばれるグーグル・アップル・フェイスブック・アマゾンにも厳しい目が注がれています。

その理由のひとつが、“巨額の利益をあげながら、納める税金が少ない”という点です。

火曜日、EUの司法裁判所は「アップル」に対して、アイルランド政府に2兆円を超える巨額の税金を追加で支払うよう命じました。アップルは、法人税の安いアイルランドにヨーロッパの拠点を置いていました。さらに、アイルランド政府から優遇措置を受けることで、2014年に納めた実効税率はわずか0.005%だったといいます。アイルランドの場合はアップルの“拠点”があったので課税できましたが、そもそも課税すら出来ないという問題もあります。

いまのルールでは国が課税できるのは、工場や事務所などの“拠点”がその国にある場合に限られます。一方、GAFAなどの企業は“拠点”を持たない国にもネットを使って、音楽や映像、広告などのサービスを提供し、巨額の利益をあげています。

この両者の間には大きな“壁”があります。税制に詳しい一橋大学大学院の吉村教授は「いまの課税制度では、企業が“拠点を持たない”国では課税できない。売り上げがあった国では公平に税金が入るように見直しが必要」と指摘します。

■「デジタル課税」導入なるか

この状況を改善しようと、ヨーロッパを中心に先進国が加盟するOECDが進めるのが「デジタル課税」の導入です。

GAFAを念頭に一定規模の売り上げがある企業に対し、“拠点がなくても”課税できるようにする制度です。実現すれば2021年分の
推計では、29兆円が収益のあった国の課税対象となり、新たに4兆4000億円の税収が生まれると試算しています。

来年2025年の発効を目指していますが…調整は難航しています。

(「サンデーモーニング」2024年9月15日放送より)

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