9月9日、アジア全体でヘッジファンドの活動が縮小傾向となる中で、日本向けヘッジファンドの新規立ち上げが活発化しつつある。都内の株価ボード前で8月撮影(2024年 ロイター/Willy Kurniawan)
アジア全体でヘッジファンドの活動が縮小傾向となる中で、日本向けヘッジファンドの新規立ち上げが活発化しつつある。
中国株の低迷を背景に、アジアでは昨年以降ヘッジファンドの清算数が設立数を上回り続けている。しかしプレキンのデータからは、日本投資専門のヘッジファンドはこの間に10本の純増となった。
関係者の話では、第3・四半期から年末にかけてさらに5本のこうしたファンドが既に設立されたか、設立が準備されている。投資家の反応も良好で、長らく重視されてこなかった日本市場を有望視する見方が広がっていることがうかがえる。
日本株のロング/ショート型ファンドを立ち上げているシンカ・キャピタル・マネジメントの創設者は「日本がついに物価上昇と賃金の伸びを伴って前向きの方向に変化してきている」と指摘した。
ヘッジファンド調査会社ピボタルパスのジョン・カプリス最高経営責任者(CEO)は「日本専門の運用者へのより大きな関心を目にしている」と述べた。
8月序盤には日銀の追加利上げと米国の低調な経済データを受け、日本株が急落する場面があったが、ヘッジファンドの日本市場に対する意欲には水を差していない。
香港に拠点を置き、7億ドルを運用するアクタスレイパートナーズは、今月中に新たな日本投資戦略ファンドを設立し、年末までに1億ドルを集める目標を打ち出している。
同ファンドは8月の株価急落についても、集中的な円売り持ちが巻き戻されたという面ではむしろ好材料だと受け止めた。
日本の機関投資家の国際投資を支援しているオルタナティブ投資会社MCPグループの最高投資責任者を務める越智哲生氏は、日本の金利がさらに上昇すれば、ゾンビ企業は最終的に存続できなくなり、長期的な戦略としてはプラスになるとの見方を示した。
プレキンによる8月の調査に基づくと、ヘッジファンド全般のリターンが一部指標でベンチマークを下回っていることから、ヘッジファンドに振り向ける資金の比率を減らす世界的な投資家が増えている。
ただウィズ・インテリジェンスによると、日本株のロング/ショート型ファンドは今年第2・四半期までの5年間、相対的に高いリターンを確保してきた。
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