イスラエルによるガザ攻撃は、始まって11か月となりますが、いまだ終わりは見えてきません。イスラエルとパレスチナ、双方の若者は今、この状況を、どうみているのでしょうか。

戦闘開始11か月…ワクチン停戦も子どもたちの被害止まらず…

9月2日、ガザの瓦礫の中で、民族楽器を奏でる15歳の少年…

少年「演奏で子どもを楽しませたい。子どもたちは社会の中心です」

しかし今、ガザでの死者は4万人を超え、その3分の1以上が、子どもたちとされています。

さらに衛生状態も極端に悪化し、発症すると手足などにまひが残ることもあるポリオの感染を、25年ぶりに確認。

これを受けて9月1日からは、ワクチン接種のため、イスラエルも攻撃を一時停止。しかし、子どもの親からは…

母親「ワクチンを持ってくる代わりに戦争を止める解決策を持ってきてください」

19歳のインフルエンサーも犠牲に

接種が行われている場所以外では続く攻撃。こうした中…

ハリミーさんのTikTok「私のテントでの生活の一日をお見せしましょう」

SNSで、避難所での生活を発信する若者が注目を集めます。19歳のパレスチナ人、メド・ハリミーさん。

限られた調理道具で作った料理を紹介するなど、日常を伝えます。爆撃におびえ暮らす中、鬱病となり、その治療を兼ねて投稿を始めたといいます。

動画は話題を呼び、登録者数20万人を超えるインフルエンサーとなり、アメリカの「タイム誌」でも取り上げられました。

ハリミーさんのTikTok 「どうやってこの避難生活を乗り切っているのかとよく聞かれるけど、一杯のお茶と、この素晴らしい景色があれば、現実を忘れられるんだ」

しかし、8月30日、ハリミーさんは、イスラエル軍の空爆で亡くなったことが報じられました。

壁に封鎖され、「天井のない監獄」と称されるガザ。人々は逃げ場のない場所に押し込められ、絶えず空爆にさらされています。

イスラエル・パレスチナ双方の若者が2週間合宿 「“敵”と話せた」
衝突も…

そんな中、もう一つの占領地、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸に住む若者と、イスラエルの若者が日本で対話する場が設けられました。イスラエル側には占領軍として兵役に就いた若者も…。

8月開かれた「日本・イスラエル・パレスチナ合同学生会議」。

日本の学生団体が主催し、この20年ほど毎年のように行ってきましたが、今回は、去年秋のイスラエルによるガザ侵攻以来、初めての開催。例年にない緊張感が漂います。

パレスチナ人の若者「僕は“敵”と話し合うチャンスを得ました-」

いまだ激しい攻撃が続くガザ。

そんな中、イスラエル、パレスチナ双方の若者が「自分たちの将来」について語り合おうと、日本で2週間の合宿生活をスタートさせましたが…

パレスチナ人の若者・タレクさん「僕は“敵”と話し合うチャンスを得ました。非常にまれな機会でした」

相手を“敵”と表現したパレスチナのタレクさん。一方、元イスラエル兵のダニエルさんからは…

イスラエルの若者・ダニエルさん「自分の考えと違うような人の話しを聞くのは辛い時があった」

当初は「互いに相容れず、衝突も起きた」といいます。「戦闘開始後の状況」というテーマで、議論をした際には…

学生団体の高橋さん「(戦闘が始まった)10月7日以降、どういう状況になるのかというプレゼンテーションの機会があったけど、ズレが参加者同士あって、会議室から出て泣いている」

合宿のなか気持ちに変化も“他者への理解”

そして一緒に訪れた長崎の原爆資料館。かつての戦争の悲劇を目にしたタレクさんは、複雑な胸の内を語りました。

パレスチナの若者・タレクさん「“敵”を許し、全てを受け入れ前に進む…。ただ、こうした考えを、自分の国に持ち帰るべきなのかという葛藤が、私の中にはあります」

少しずつではありますが、対話に前向きな姿勢も生まれていったといいます。

 

イスラエルの若者・ダニエルさん
「相手(パレスチナ)の苦しみが大きいことは認めますが、互いに苦しんでいる紛争の中で、痛みを共有できることはとても重要です」

わずかとはいえ双方に芽生えた理解。しかし、イスラエルによる一方的な占領と攻撃が続く状況の打開は容易ではありません。

それでも主催した日本の若者は

学生団体の平田さん「(イスラエルとパレスチナの関係は)非対称だけれども、前に進む方向に行くには、互いの顔が分かっていないといけないのかな」

高橋さん「この活動を通して平和を実現するというのは土台無理な話しであることは我々も承知している。ただ未来に種を蒔くようなものかなと」

(「サンデーモーニング」2024年9月8日放送より)

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