ロシア黒海艦隊の艦船 EYEPRESS via Reuters
<水上ドローンによる猛攻に耐えかねて撤退した黒海艦隊だが、ウクライナ軍はノヴォロシースクの港にも到達可能な水上ドローンを保有している>
ウクライナの水上ドローンによる度重なる攻撃で甚大な被害を出し、クリミア半島からロシア国内への「後退」を余儀なくされていたロシア黒海艦隊だが、今度は基地があるロシア南部ノヴォロシースクがウクライナ水上ドローンによって攻撃された。攻撃の様子は動画で撮影されており、SNSで公開されて大きな話題となっている。
■【動画】ロシア黒海艦隊、国内でも「水上ドローン」の襲撃受ける...クリミアから「撤退」後 攻撃の様子を捉えた動画
この攻撃後、ロシア国防省は「黒海の北東部で」水上ドローン2機を破壊したと発表している。またノヴォロシースクのアンドレイ・クラフチェンコ市長は、海岸付近の住民に対して、窓には近づかず、空き地から離れるよう呼びかけた。
ロシアの複数のテレグラムチャンネルも、ノヴォロシースクでの武器の発射と爆発を伝え、攻撃の映像を共有した。ロシアの独立系メディア「ASTRA」は、「ウクライナ軍の水上ドローンがノヴォロシースクを攻撃した」と伝えた。
ウクライナはここ数カ月、水上攻撃ドローン「マグラV5」を使ったロシア海軍への攻撃を強化してきた。ウクライナ国防省情報総局は5月、これまでにロシアの艦艇に5億ドル相当の損害を与えたと発表した。同局のアンドリー・ユーソフ報道官は、マグラV5は黒海艦隊を標的にする上で「ウクライナが持つ主要かつ最良の兵器」だと述べた。
シー・ベイビーとコザック・ママイはロシア南部に到達可能
これを受けてロシアは、自国が誇る黒海艦隊の多くをすでにクリミアのセバストポリからノヴォロシースクとフェオドシアの港に移動させていた。
キエフ・ポスト紙によると、ウクライナ軍は、ノヴォロシースクに到達可能なシー・ベイビーとコザック・ママイという2機の海上ドローンも保有している。
2023年8月には、ウクライナの海上ドローンがノヴォロシースクの軍事基地を攻撃し、ロシアの北方艦隊の大型揚陸艦「オレネゴルスキー・ゴルニャク」を損傷させ、航行不能にした。同艦は兵員や軍事装備の輸送に使用されていた。
ロシア国防省は今年7月にノヴォロシースクに向かっていたドローン2機が黒海で破壊されたと発表したが、クリミアに拠点を置くテレグラムチャンネル「クリミアの風」は疑問を呈し、ノヴォロシースク港で発生した火災を示しているとする衛星画像を公開した。
飲酒問題を告発されたロシア海軍司令官に国民の怒りが
その後、ロシア海軍の情報を伝えるブロガーが、短時間に多量に飲酒する「ビンジ飲酒」をしているロシア海軍司令官に攻撃の責任があると告発した。「Battle Sailor」というユーザー名のこの軍事ブロガーはテレグラムで、「戦争中に定期的にビンジ飲酒をし、その後、点滴(静脈点滴)を打っている高官がいる」と明かした。
「ほとんど全員が彼のことを知っている。もしまた酒に酔ったら、部下がオフィスであなたの面目を失わせるだろう。そして私はそれを広める手助けをする」「私はもう、海軍に対するこの忌まわしい態度を許すことはできない」
軍事ブロガーは最後に、「敵は大々的な偵察を行った。我々はより大規模な攻撃を予期すべきだろう」と警告した。
ウクライナは、ロシアの黒海艦隊の3分の1を無力化したと発表している。ウクライナ軍は2014年にロシアが併合したクリミアの奪還に向け、同艦隊を標的にし続ける可能性が高い。
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