CGを駆使した迫力の戦闘シーンが印象的な北朝鮮の国民的アニメ。
こうしたCGアニメの高い制作技術を持つ北朝鮮が、日本のアニメ制作にも関与していた疑いが浮上した。
衝撃の調査結果を公表したのは、アメリカの北朝鮮分析サイト。
発端は2023年、北朝鮮が管理するインターネット上のサーバーに、アニメのキャラクターなどが描かれた文書などが保管されていたことだった。
このサーバーからは、アメリカの有名アニメの文書に加え、日本で7月から放送されるテレビアニメ「魔導具師ダリヤはうつむかない」に関する日本語で書かれた指示書なども確認された。
これにより、日本のアニメ作品に北朝鮮が関与していた可能性が浮上した。
そのアニメの原画とみられる画像には、中国語から翻訳された作画の指示がハングルで添えられていた。
サーバーには、中国からのアクセスがあったことから、外国から発注を受けた中国企業が、北朝鮮にアニメの作画を下請け発注していたのではとみられている。
北朝鮮の関与が指摘された「魔導具師ダリヤはうつむかない」の公式ウェブサイトは24日、「一連の報道で伝えられている内容について、製作委員会および制作スタジオも把握していない情報であり、現在、事実関係を調査中となります」とコメントを発表した。
分析サイトの調査では、「日本やアメリカの元請け会社が北朝鮮の関与を知っていた形跡はない」と指摘。
そのうえで、各国企業は意図せず北朝鮮側に利用された可能性があるとしている。
甲南女子大学・鴨下ひろみ准教授は、「驚いたというよりは、やっぱりなというのが先に立った。アニメ制作の実力があって、力も入れてきたので、何らかの形で制裁逃れをして、そこで外貨を稼ぐのは十分にあり得る」と話す。
北朝鮮のアニメスタジオを金正恩総書記が視察した際、金総書記は、「北朝鮮を世界で指折りのアニメ大国にする必要がある」と激励し、制作現場に最新機器を取り入れるなどの支援を行い、アニメ作りを推進していたという。
この北朝鮮のアニメスタジオは、アメリカが制裁の対象に指定し、すべての商業活動を禁じていた。
北朝鮮の関与が事実であれば、日本が誇るアニメ文化が制裁逃れの手段として“北朝鮮の外貨稼ぎ”に利用されていたことになる。
意図せぬ北朝鮮の関与を防ぐ手だてはあるのだろうか。
鴨下准教授は、「身分を偽って受注したり、下請けだったり、幽霊会社だったりするので、見極めはなかなか難しいとは思うんですが、中国にいたとしても北朝鮮の技術者である可能性もあるわけなので、そういった点をしっかり見極めて取引に及ぶことが大切」と話した。
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