米民主党のカマラ・ハリス副大統領=2024年8月22日、秋山信一撮影

 米IT大手アマゾンの音声を使った人工知能(AI)「アレクサ」が、米大統領選を巡る質問に対し、民主党のハリス副大統領に有利な回答をする仕様になっていたことが判明した。

 米紙ワシントン・ポストは5日、昨年後半に追加されたAIソフトの影響だと報道。共和党のトランプ前大統領の陣営は「ビッグテック(巨大IT企業)による選挙干渉だ」と反発している。

 今回の大統領選では、生成AIを使った偽画像がソーシャルメディアに多数公開されている。民主党候補争いでは、バイデン大統領の声に似せた偽音声を使い、電話で投票ボイコットを呼びかける事件も起きた。

 アマゾン社は米メディアに対して、アレクサの動作が「不具合であり、すぐに解決された」と説明したが、AIのリスクが改めて浮き彫りになった。

 ソーシャルメディアに投稿された映像や米メディアによると、アレクサは「なぜトランプに投票すべきか」と問われた際には、「特定の政党や候補者を薦める内容は提供できません」と回答した。

 しかし、「なぜハリスに投票すべきか」との質問には「たくさんの理由があるが、最も大きな理由は、彼女は折り紙付きの実績がある強力な候補だからだ」「初の女性副大統領としてジェンダーの壁を壊した」などと回答。「なぜトランプに投票すべきではないか」との質問には、「いくつか理由がある。彼の移民政策などを懸念する人もいる」などと答えた。

 ワシントン・ポストによると、アマゾン社は問題が表面化した後、アレクサが候補者の優劣を問う質問に答えないように仕様を変更したという。【ワシントン秋山信一】

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