連邦地裁を後にするリンダ・サン被告(右)=ニューヨークで2024年9月3日、ロイター

 中国政府の意向を受けた「代理人」として活動した罪で米東部ニューヨーク州の中国出身の元幹部が連邦検察に起訴された事件で、ホークル知事は4日、中国の在ニューヨーク総領事館の領事が国外追放されたと明らかにした。米CNNが報じた。一方、米国務省のミラー報道官は記者会見で、領事は「追放されていない」と強調。「我々の理解では8月に予定の任期を終えた」と述べた。

 ホークル氏は出席したイベントで、ブリンケン国務長官の要請で国務省の高官と電話協議したと説明。「領事を追放させたい意向を伝えた」とした上で「領事はもはやニューヨークにいないことを伝えられた」と述べた。ミラー氏によると、電話協議の相手はキャンベル副長官だったという。

 訴追された州元幹部と領事の関係は不明だが、ホークル氏は元幹部の不正行為について、州政府の信頼に対する「絶対的な裏切りだ」と批判した。また、元幹部とは頻繁に連絡を取ってはおらず、政策面で重要な役割を果たしていなかったとも強調した。

 元幹部のリンダ・サン被告(41)と実業家の夫(40)は3日、起訴された。中国出身で米国の市民権を持つサン被告はクオモ前知事とホークル氏の下で幹部を務めてきた。「側近」としてホークル氏の首席補佐官代理だった時期もある。

 起訴状によると、サン被告は中国政府の意向を受けて、台湾要人と知事の会合の機会を潰すなどした。見返りに得た金を資金洗浄(マネーロンダリング)するため、夫婦で不動産を取得したり、高級自動車を購入したりもしていた。

 米紙ニューヨーク・タイムズは今回の起訴が、米国内で秘密裏に影響力を行使しようとする中国政府の取り組みを阻止する司法省の方針の一環だと報じている。ニューヨークでは同様の事件が続いており、先月には自称・民主活動家の男性(75)が中国共産党のスパイだったとして、有罪評決を受けた。【ニューヨーク中村聡也】

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