2022年に退任した韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が収賄の容疑者に浮上したと韓国メディアが一斉に報じました。

2日朝の韓国紙では、文在寅前大統領と娘の写真を掲載して「『文在寅、億ウォン台の賄賂疑惑』捜査へ」と大きく報じています。

独自取材として疑惑を報じた韓国のテレビ局MBCの報道によりますと、8月30日、韓国の検察が文前大統領の娘・ダヘ氏の自宅を家宅捜索した際、捜索令状に収賄の容疑者として文氏の名前が書かれていたということです。

収賄があったとされるのは文氏が大統領に在任していた2018年。
かつて自身が代表を務めていた「共に民主党」の元議員が設立した航空会社に当時娘の夫だった人物を入社させ、その見返りに、元議員に公団理事長のポストを与えた疑いがあるといいます。

その後、娘は離婚しましたが、検察は元夫が航空会社の役員として受け取った給与など2億2000万ウォン、約2400万円が文氏に対する賄賂にあたるとみているということです。

一方、検察による今回の捜査に対し、文氏を支持してきた共に民主党の関係者らは猛反発しています。

共に民主党議員:
罪のない前大統領を容疑者にして苦しめる政治的報復で、その結末は現政権と検察の没落となるでしょう。

共に民主党報道官:
調べても何もでてきません。法律を無視して無理やり小説を書いています。

文氏の娘・ダヘ氏は、家宅捜索を受けた翌日、SNSに割れた窓ガラスの写真と共に「この石を誰が投げたのだろう。なぜよりによって私に当たったのだろうか。この思いだけが繰り返される」というコメントを投稿しました。

今回の疑惑を「石に当たった」と例えることで、潔白を訴えたものとみられます。

これまでのところ文氏は、自身が容疑者として報じられていることについてコメントしていません。

検察は「疑惑の捜査を進めているだけで、政治的な状況とは全く関係ない」としています。

更に今回の疑惑を巡って検察は、文氏の側近で、かつて次々と疑惑が表面化したことから“玉ねぎ男”と呼ばれた野党・祖国革新党のチョ・グク代表からも事情を聴きました。

祖国革新党 チョ・グク代表:
これは目標を決めてから行う捜査で、基本に反するものだと考えている。

退任後には汚職などで収監されることが多い韓国の大統領経験者。
歴史はまたしても繰り返されるのでしょうか。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。