イスラエルのネタニヤフ首相=イスラエル中部テルアビブで2024年7月13日、ロイター

 パレスチナ自治区ガザ地区での人質6人の遺体発見は、イスラエルと関係が深い米国でも衝撃が広がっている。

 「6人は直前まで生きていた。明らかに停戦を進めないネタニヤフ政権の失態だ」。ネタニヤフ首相に対して人質の解放を最優先に取り組むよう求めてきた在米団体の代表で、イスラエル出身のオフィル・グテルゾンさん(48)は取材にこう指摘した。

 グテルゾンさんの団体は昨年10月にハマスがイスラエルに越境攻撃を行い人質を取って以降、数百人のメンバーとともに米国各地でネタニヤフ氏に対する抗議デモを行うなどしてきた。1日にも西部カリフォルニア州でデモを行い、在米のイスラエル人を中心に約200人が参加。グテルゾンさんは「今こそネタニヤフ氏に最大限の圧力をかける時だ」と訴える。

 今回遺体で見つかった一人は米国とイスラエルの二重国籍のハーシュ・ゴールドバーグポリンさん(23)。昨年10月7日に野外音楽イベントを訪れた際、ハマスに拉致され、片腕を失っていた。ハーシュさんの両親はメディアに頻繁に登場していたほか、8月21日には民主党の全国大会でも登壇し、人質の解放や即時停戦を訴えていた。

 バイデン米大統領は8月31日の声明で「私は打ちのめされ、憤慨している。ハマスの指導者は代償を支払うことになる。残りの人質を解放させる合意に向けて取り組む」と述べた。

 ネタニヤフ氏は自身の政治的な保身のために戦闘を続けているとの見方も根強くあり、バイデン氏も度々、ネタニヤフ氏の姿勢に不満を示してきた。ただバイデン政権は一貫してイスラエルの「自衛権」を支持し、兵器の支援も続けている。

 こうした煮え切らない対応に、国内では若者を中心にバイデン氏への批判が強まっている。【ワシントン松井聡】

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