中国の王毅外相=福岡静哉撮影

 中国の王毅外相が8月に超党派の日中友好議員連盟の二階俊博会長(自民党元幹事長)らと北京で面会した際、日本へのジャイアントパンダ貸与について「自分の責任で送りたい」と述べ、意欲を示していたことが1日分かった。日中両政府が調整する自身の訪日についても早期実現に積極姿勢を表明した。複数の日中関係筋が明らかにした。

 中国軍機による日本領空侵犯や東京電力福島第1原発の処理水放出により日中関係が冷え込む中、パンダ外交を突破口に関係を安定軌道に戻す狙いがあるとみられる。

 王氏は8月28日の会談で、処理水や台湾問題を巡り原則的な立場を繰り返すにとどめた。ただ、会談に続く夕食会では日本へのパンダ貸与に前向きな考えを示した上で「日本を早く訪れたい」と述べたという。日中両政府は外相の相互訪問を調整している。

 日本政府関係者は新たなパンダの貸与について「何ら決まっていない」と話している。王氏は昨年11月、公明党の山口那津男代表と北京で会談した際、仙台市へのジャイアントパンダ貸与の提案に肯定的な姿勢を見せていた。

 日本動物園水族館協会によると、日本国内で飼育されている中国貸与のパンダは8月末時点で、上野動物園(東京都台東区)と「アドベンチャーワールド」(和歌山県白浜町)に4頭ずつの計8頭。うち上野の2頭は高齢による健康不安のため今月29日に中国に返還される。

 神戸市立王子動物園(同市灘区)では今年3月、タンタン(旦旦)が国内最高齢の28歳で死んだ。(共同)

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